JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2016年05月19日

日本自動車工業会
西川会長

先月4月中旬に発生した熊本地震につきまして、お亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げます。また、被災されました皆様には心よりお見舞い申し上げます。自動車生産あるいは部品の生産の挽回、サプライチェーンの挽回はまだ途上ですが、被災地では、まだまだ多くの方が避難生活を送られています。一刻も早く被災地の皆様の生活が元に戻るよう願っています。

また、今回の燃費にかかわる不正について、三菱自動車工業における数値の改竄及び法令に定められた手続きに違反したことはあってはならないことです。また、スズキにおける法令に定められた手続き違反もあってはならないことと認識しています。真の原因を見極めたうえで、国土交通省のご指導の下、十分な再発防止策を講じて頂きたいと考えています。なお、今回の事態を受けて三菱自動車工業より、自工会の副会長の職を辞退したいとの申し出を受けこれを受理し、当面副会長は4人の体制で運営することとなりました。

●会長就任挨拶

  • 2年間にわたる多大な貢献をした池前会長の流れを引き継ぎ、更に良い形で2年後の会長会社であるトヨタ自動車へバトンタッチすることが自分の使命と感じています。
  • 平成28年度の事業計画として、「国内市場の活性化」「事業環境の改善」「安全・快適で持続可能なクルマ社会の創造」、以上3点を柱として決定しました。
  • 足元の4月の国内市場は、16ヵ月ぶりに前年比プラスとなりましたが、事業環境全般という見方をすると、新興国経済の減速、為替の大きな変動など経済環境の変動が非常に大きく、事業環境としては決して楽観視できるものではありません。会員各社の決算が発表されましたが、収益的には厳しい見方がされています。
  • しかし、日本の自動車メーカー、あるいは自動車産業の立ち位置という観点でみると、これからの変化・進化に対し、対応していく技術力は十分にあります。日本の市場は、今後の自動車の進化、自動車市場の進化を先取りし、質の面で最も進んだ先進市場として、世界の中でも存在感を増していくチャンスが大いにあると認識し進めていきたいと思います。
  • 我が国経済、雇用の面でも自動車産業の果たすべき役割は非常に大きく、お互いに競争し協調しながら、積極的に進めていきたいと考えています。
  • 2020年の東京オリンピックを1つの大きな節目として見据え、自工会としてより多くの前向きな話題を提供し、そしてより多くのクルマ・バイクファンを作るということを心がけていきたいと思います。

●各副会長からの抱負

  • (豊田副会長)自動車産業を取り巻く環境は決して平坦ではありませんが、移動することが楽しいと多くの方に言って頂けるよう、西川新会長の下、業界を挙げて力を尽くして参りたいと思います。4年後に迫る東京オリンピック・パラリンピックに向け、次世代モビリティを担う自動車業界にご期待頂きたいと思います。
  • (八郷副会長)2020年の東京オリンピック・パラリンピック、そしてその先を見据えた取り組みに、副会長およびクルマ・バイクファンの1人として西川新会長を全面的にバックアップし、日本のものづくりと市場の活性化に取り組み、日本の自動車業界の発展に貢献していきたいと思います。
  • (小飼副会長)日本の自動車業界が発展し、盛り上がるよう取り組んでいきたいと思います。個社ではなく、日本の自動車業界がベクトルを合わせ1つになってやっていくことが数多くあり、西川新会長のイニシアチブの下、副会長および理事の皆さんとコミュニケーションをとりながら取り組んでいきたいと思います。
  • (永塚副会長)事務局を束ね、西川新会長をしっかり支え、自工会活動の効率的、効果的な実施に全力を挙げて参りたいと思います。

●燃費不正問題について

  • 今回の不正問題は、あってはならないことです。自動車メーカー自らが計測をして条件設定をするということがベースになっており、この仕組みの根幹を作っている信頼を揺るがすような不正です。
  • 国土交通省を中心に再発防止に向けたタスクフォースが立ち上がっており、その結果については各自動車メーカーおよび自工会としても真摯に且つできるだけ早く十分な改善ができるよう対応していきたいと考えています。

●国内市場について

  • 自工会は、2016年度の国内市場を微増と見通しているものの、今後の市場動向については、数ヶ月間は様子を見ないと判断は難しいと思います。足元の4月は前年比で101.6%の微増ですが、本格的な回復にはもう少し時間がかかるのではないか、と見るのが妥当と考えています。
  • 自動車各社は、お客様に魅力ある商品を提供し、できる限り市場を活性化していくことが我々にできる仕事だと考えています。

●自動運転について

  • 自工会は昨年「自動運転ビジョン」を打ち出しましたが、社会的なコンセンサスを得ながらその導入と普及に向けて積極的に推進していきます。
  • 普及させるためには法令整備、インフラ整備、交通環境との調和が非常に大事であり、関係省庁とも協調し、自動運転の取り組みが日本の中で進むようにしていきたいと思います。
  • 本日の午前中、日本の地図会社として「ダイナミックマップ基盤企画株式会社」という会社設立の発表がありました。これは地図会社や自動車各社が協力して出資した会社であり、このような取り組みを含め、協調してやれるところはどんどん積み重ねていき、先進市場として他の先進市場に負けない、先を行くような取り組みを推進していきたいと考えています。

●成長戦略素案への期待について

  • 成長戦略に我々も期待しています。政府が投資や資源を投入していくのは、質の高い成長あるいは進化するところだと思います。
  • 自動車産業は進化の過程にあり、次世代自動車、自動運転、外部システムと繋がっていくことなどに直面しています。成長戦略の中では人工知能等も議論されていますが、我々が強化をすべきところは、その成長戦略と重なってくるのだと思います。

●自動車税制について

  • 2017年度税制に向けて非常に重要な局面になってきます。道筋をつけるという点では今年の後半の議論が非常に重要になってくるので、最大限の努力をして政府に対してできる限りの働きかけをしていきたいと考えています。

以上