JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2016年05月19日

平成28年度事業計画

平成28年度は、引き続き米国経済が穏やかに回復することが期待される一方、原油価格下落や不安定な為替、新興国経済の減速などが世界経済や市場に影響を与えることが懸念される。また国内では依然として内需が力強さを欠くなか、来年度には消費税再増税が控え、事業環境は楽観できる状況ではない。

自動車産業は、広範な関連産業を持ち、我が国の経済や雇用創出に大きく貢献する基幹産業であり、日本経済の更なる成長と未来社会の創造に向けて、果たすべき役割は非常に大きい。
課題は多岐にわたるが、本年度も引き続き以下3点を事業の柱として、業界を取り巻く環境変化を的確に捉えた取組みを積極的に推進していく。

<国内市場の活性化>
日本の自動車産業の発展には、国内の自動車市場を活性化することが不可欠である。
昨年度の「第44回東京モーターショー2015」には国内外から81万人ものお客様にご来場頂いた。モーターショー休催年に当たる本年度も、この勢いを絶やさぬよう、自動車業界全体が一丸となり、クルマ・バイクの魅力を積極的に発信していく。

また、国内市場の活性化に向けては、お客様がクルマ・バイクを購入・保有しやすい環境の整備も重要である。来年4月に消費税の再増税があることも踏まえると、自動車ユーザーの過重な税負担軽減は不可欠であり、引き続き自動車税制の抜本的な見直しを強く訴えていく。

二輪車においては、安全運転教育や啓発、免許取得時の負担軽減、駐車場整備や高速道路料金の適正化など利用環境改善に向けた諸課題への取組みを積極的に推進し、二輪車の利便性向上を図っていく。

<事業環境の改善>
日本経済が持続的に成長していくためには、産業の活性化と国際競争力の向上が不可欠である。事業環境の改善や国際競争力の維持・強化に向けて、企業の実質的な負担軽減のもとでの法人税改革の推進や研究開発投資環境の着実な整備を政府に求めていく。
また、グローバルに事業を展開する自動車業界にとって、経済連携交渉を推進し、貿易・投資の自由化とそれを支える共通ルールづくりを進めることも極めて重要である。特に、本年2月に全参加国がTPP協定に署名したが、自動車業界としても本協定を活かし、日本経済の発展と域内経済関係の緊密化に貢献していく。
また、昨年末にはAEC(アセアン経済共同体)が発足し、アセアン単一市場として国際競争力を高めることが期待されており、我々自動車業界としても、同地域の経済に貢献しながら更なる関係強化に努めていく。

<安全・快適で持続可能なクルマ社会の創造>
安全・快適で持続可能なクルマ社会を創造していくことは、我々自動車業界の大きな使命である。クルマ、バイク、歩行者や自転車など“道”を使う全ての交通参加者の安全・快適かつ自由な移動の実現を目指し、先進技術を活用した安全運転支援システムの普及や予防安全技術の実用化に取り組む。自動運転については、事故ゼロ・渋滞ゼロ・自由な移動と効率的な物流の実現を目標として、関係各方面の協力や社会的コンセンサスを得ながら、その導入と普及を積極的に推進していく。
また、これらの対策と併せ、交通安全啓発活動や道路交通環境改善に向けた提言などにも積極的に取り組み、世界で最も安全かつ効率的で自由なモビリティ社会の実現に向けて尽力する。

エネルギー・環境問題については、地球温暖化を食い止める取組みが大変重要である。COP21において、全ての国・地域が協調して温室効果ガスの削減に取り組む新たな枠組み「パリ協定」が採択された。自動車業界としても、日本政府が掲げる2030年度の温室効果ガス排出量削減目標の達成に向け、次世代自動車の開発・普及や、従来型内燃機関のさらなる性能向上、交通流対策やエコドライブなど統合的アプローチを推進する。

とりわけ燃料電池自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド車の普及には、インフラの先行整備が必要なことから、関連業界と連携を図るとともに、車両普及やインフラ整備に対する一層の支援を政府に求めていく。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック、さらにはその先も見据え、未来のモビリティと夢のある豊かなクルマ社会の実現に向けて、政府をはじめ関係各所と協力を図りながら、様々な課題に積極的に取り組んでいく。

以 上