JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2016年03月17日

日本自動車工業会
池会長

東日本大震災から5年が経ち、いまもなお多くの方が避難生活を余儀なくされております。すべての被災者の方が元通りの生活を取り戻すことができるよう、被災地の復興を心より願っています。

3月初旬、安倍総理は、被災地福島県を訪問された際、「2020年には、福島で再生可能エネルギーから、燃料電池自動車1万台に相当する水素を作る。」「福島を、未来の水素社会を開く先駆けの地としていく」という「福島新エネ社会構想」を今月中に立ち上げることを表明しました。被災地に対する安倍総理の一日も早い復興、および経済活動における東北復興への強い気持ちが込められているのだと思います。我々、自動車業界も、水素社会実現に向けて燃料電池自動車の普及促進に努力していく所存です。

●2016年度の自動車国内需要見通しについて

(四輪車)

  • 2015年度に引き続き、軽自動車税増税の影響等が残るものの、2017年4月に予定されている消費税率引き上げ前の駆け込み需要を織り込み、対前年度比106.5%の約526万台を見込んでいる。一昨年の消費税増税後のレベルに戻るということであり、足元の市場は依然として厳しい状況にある。消費税増税後の2017年4月以降、大きな反動減も懸念される。

(二輪車)

  • いわゆる中大型の二輪車では引き続き底堅い需要が予想されるものの、市場の半数を占める原付第一種の需要が、利用者の高齢化や若年人口の減少という構造的な要因に加え、来月からの軽自動車税増税の影響もあり、全体では、対前年度比97.3%の約39万台を見込んでいる。
  • 自動車業界は、「二輪車産業政策ロードマップ」に基づき、若者や新規層への二輪車の魅力の訴求や駐車場の整備をはじめとする二輪車ユーザーの利用環境改善などの施策をさらに加速させ、二輪市場拡大への努力を弛まず続けていく。

●消費税率10%への引き上げについて

  • 財政健全化、社会保障改革は喫緊の課題であり、自工会は、従来より消費税は上げるべきであるという表明をしてきた。
  • また、自動車業界は、昨年の自動車税制をめぐる活動において、消費税10%への引き上げ時に自動車取得税を撤廃するという前提で活動してきた。よって、自工会としては予定通り消費税が上がる時点で自動車取得税は廃止されるものと考えており、基本的なスタンスは変わっていない。

●2016年春季交通安全 キャンペーンについて

  • 政府の実施する春の全国交通安全運動と連動し、4月6日から5月5日までの間、「自工会・春季交通安全キャンペーン」を実施する。
  • 2020年までに交通事故死者数2,500人以下とする政府目標の達成に向けて、自工会としても、一層の車両安全対策に取り組むとともに、交通安全活動の一環として本キャンペーンを実施し、世界一安全な道路交通社会の実現に貢献していく。

●春闘の結果について

  • 各社ごとの結果を総括的に評価することはできないが、労使双方で密な話し合いをした結果だと思う。
  • マクロ経済または地政学的なリスクなど不透明感もあり、経営者側にとっては慎重にならざるを得ない。そのような中、従業員の方々の努力があって、会社の業績が成り立っているということで、一時金については満額回答も多く見られ、更には非正規の契約社員の方々の手当てなどを含めて見直しがされてきている。各社は、社会的要請に最大限応えながら、今の各社の実力値の中で最大限の答えを出しているのではないか。

●会長の任期を振り返って

  • 会長就任以降、消費増税の影響もあり、国内市場は少し厳しいものがあった。そのような状況下、日本の将来に向けて、自動車産業が日本経済を引っ張っていくのだということで、政府などあらゆる方面から熱い期待が寄せられていることをひしひしと感じていた。その期待に如何に応えていくかが、自分の中で一番大きな課題としてあったが、これまでの2年間、自工会会長として無事に努めることができたのは、たくさんの方々のお力添えによるものであり大変感謝している。

●自工会・次期会長について

  • 本日の理事会にて、日産自動車の代表取締役CCO兼副会長「西川廣人」氏が次期会長に内定し、正式には5月度理事会にて選任されることになっている。
  • まだ2ヶ月の任期が残っているので、最後までしっかりと走り切り、西川氏にたすきを渡せるようにしたい。

以上