JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2006年03月31日

トラック・バス等商用車における車室内VOC低減の自主取り組みについて

(社)日本自動車工業会(会長:小枝 至、以下 自工会)は、このたび、昨年2月に公表した乗用車に続き、トラック・バス等の商用車についても車室内VOC低減に関する自主的な取り組みを進めることとした。

VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)とは、常温で揮発しやすい有機化合物のことで、ホルムアルデヒドやトルエン等がよく知られている。乾燥しやすいことや油汚れを落としやすい等の特徴を活かし、塗料や接着剤などの溶剤、または洗浄剤として産業界で広く利用される一方で、鼻・のどに刺激を感じる等の体調不良が生ずるいわゆるシックハウス(室内空気汚染)症候群の一要因であるとされている。

このような状況を踏まえ、自工会では昨年2月から、まず乗用車の車室内VOC低減の自主的な取り組みを進めてきた。トラック・バス等の商用車に関してもVOC濃度試験方法の研究や今後の対応について検討を進めてきたところであるが、今般、トラック・バスの車室内VOC試験方法を策定し、2008年度以降の新型車について厚生労働省の定めた13物質の室内濃度指針値を満足させる自主的な取り組みを始める。

車室内のVOCは車室内の様々な部品から揮発する成分の混合物であるため、今後、部品メーカーや素材メーカーの協力を得ながら取り組んでいく。

なお、車室内VOCの特徴や、昨年公表した乗用車も含めた自主取り組みの内容を、当会ホームページに掲載した。
(ホームページアドレス  http://www.jama.or.jp/eco/voc/index.html

〔トラック・バス等商用車の自主取り組み概要〕

1.時期と対象車
2008年度以降の新型車(国内で生産し、国内で販売するもの)

2.目標値
厚生労働省「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」において室内濃度指針値が確定している13物質に対し、その指針値を満足させる。また、それ以降も各社さらに室内濃度低減に努める。

厚生労働省の定めた13物質の室内濃度指針値

物質名
室内濃度指針値
主な発生源
ホルムアルデヒド
100μg/m3(0.08ppm)
合板、壁紙などの接着剤
トルエン
260μg/m3(0.07ppm)
内装材、家具などの接着剤、塗料
キシレン
870μg/m3(0.20ppm)
パラジクロロベンゼン
240μg/m3(0.04ppm)
衣類の防虫剤やトイレの芳香剤
エチルベンゼン
3800μg/m3(0.88ppm)
合板、家具などの接着剤、塗料
スチレン
220μg/m3(0.05ppm)
断熱材、浴室ユニット、畳心材
クロルピリホス
1μg/m3(0.07ppb)但し小児の場合は
0.1μg/m3(0.007ppb)
防蟻剤
フタル酸ジ-n-ブチル
220μg/m3(0.02ppm)
塗料、顔料、接着剤
テトラデカン
330μg/m3(0.04ppm)

灯油、塗料

フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
120μg/m3(7.6ppb)

壁紙、床材、電線被覆

ダイアジノン

0.29μg/m3(0.02ppb)

殺虫剤

アセトアルデヒド

48μg/m3(0.03ppm)

建材、壁紙などの接着剤

フェノブカルブ 33μg/m3(3.8ppb) シロアリ駆除剤

3.試験方法
濃度の測定は自工会策定の「車室内VOC試験方法」に従う。

概要
(1)プレコンディション 標準状態でドア・窓を開放して30分以上換気を行なう。
(2)密閉放置時の濃度測定
(ホルムアルデヒド)
ドア・窓を全閉し、密閉状態の車両を照射ランプ等によって加熱し、室内濃度をトラックは40℃、バスは35℃に調整する。その状態を4.5時間保持したのち、車室内の空気を30分間採取する。
(3)乗車時の濃度測定
(ホルムアルデヒド以外)
採取終了後、エンジンを始動(エアコンを稼動)させ、その状態で車室内の空気をトラックは30分間、バスは120分間採取する。

以 上