JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2005年02月14日

車室内VOC低減に対する自主取り組みについて

(社)日本自動車工業会(以下、自工会)は、今般、車室内のVOC(揮発性有機化合物)低減について自主的な取り組みを進めることとした。

VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)とは、常温で揮発しやすい有機化合物のことで、ホルムアルデヒドやトルエン等がよく知られている。乾燥しやすいことや油汚れを落としやすい等の特徴を活かし、塗料や接着剤などの溶剤、または洗浄剤として産業界で広く利用されてきた。

近年、住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築や改装直後の住宅・ビル等に入ると鼻・のどに刺激を感じる等の体調不良が生ずるいわゆるシックハウス(室内空気汚染)症候群が注目され、厚生労働省や産業界はその一要因であるVOCの対策に取り組んできている。

自工会では車室内を居住空間の一部と考え、自動車の使われ方や住宅とは異なる環境を考慮した最適なVOC濃度試験方法の研究や実態調査等を進めてきた。これらの結果を踏まえ、今般、濃度測定に必要な「車室内VOC試験方法(乗用車)」を新たに策定し、2007年度以降の新型乗用車について厚生労働省の定めた13物質の室内濃度指針値を満足させる「車室内のVOC低減に対する自主的な取り組み」を始める。

これまでも、自動車メーカー各社は揮発する化学物質の使用量を抑えたクルマづくりを進めてきたが、本取り組みにより、今後は化学物質の中でも、厚生労働省が室内濃度指針値を定めた化学物質の低減を優先的に進めていく。具体的には、例えば接着剤や塗料に含まれる溶剤の水性化・無溶剤化等を推進していく。

また車室内のVOCは車室内の様々な部品から揮発する成分の混合物であるため、今後、部品メーカーや素材メーカーの協力を得ながら取り組んでいく。

〔自主取り組みの概要〕

1.時期と対象車
2007年度以降の新型乗用車(国内で生産し、国内で販売する乗用車)
(トラック・バス等の商用車についても2005年度内を目途に自主取り組みを公表できるよう検討中)

2.目標値
厚生労働省「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」において室内濃度指針値が確定している13物質に対し、その指針値を満足させる。また、それ以降も各社さらに室内濃度低減に努める。

厚生労働省の定めた13物質の室内濃度指針値
物質 室内濃度指針値※
ホルムアルデヒド 100μg/m3(0.08ppm)
トルエン 260μg/m3(0.07ppm)
キシレン 870μg/m3(0.20ppm)
パラジクロロベンゼン 240μg/m3(0.04ppm)
エチルベンゼン 3800μg/m3(0.88ppm)
スチレン 220μg/m3(0.05ppm)
クロルピリホス 1μg/m3(0.07ppb)
但し小児の場合は0.1μg/m3(0.007ppb)
フタル酸ジ-n-ブチル 220μg/m3(0.02ppm)
テトラデカン 330μg/m3(0.04ppm)
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 120μg/m3(7.6ppb)
ダイアジノン 0.29μg/m3(0.02ppb)
アセトアルデヒド 48μg/m3(0.03ppm)
フェノブカルブ 33μg/m3(3.8ppb)
※25℃のときの換算値。 ppb=1/1000ppm

3.試験方法
濃度の測定は自工会策定の「車室内VOC試験方法(乗用車)」に従う。

概要
(1)プレコンディション 標準状態で、ドア・窓を開放して30分以上換気を行う。
(2)密閉放置時の濃度測定(ホルムアルデヒド) ドア・窓を全閉し、密閉状態の車両を照射ランプを使って加熱し、室内温度を40℃に調整する。この状態を4.5時間保持したのち、車室内の空気を30分間採取する。
(3)乗車時の濃度測定(トルエンなど) 採取終了後、エンジンを始動(エアコン稼働)させ、その状態で車室内の空気を15分間採取する。

 

以 上