JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2003年05月20日

「自動車排出ガスに起因するナノ粒子の生体影響」に関する共同研究の実施について

社団法人日本自動車工業会は、このたび、独立行政法人国立環境研究所と共同で「自動車排出ガスに起因するナノ粒子の生体影響」に関する研究を実施することで合意した。

日本自動車工業会は、従来より財団法人日本自動車研究所(JARI)等を通じて、自動車排出ガスと健康影響に関する研究を行っており、その研究成果は米国環境保護庁(EPA)、世界保健機構(WHO)、カリフォルニア州大気保全局(CARB)など国際的に広く利用されている。一方、自動車排出ガスと健康影響に関する科学的知見は未だ国際的にも十分とは言えず、今後も継続して、国内外の研究機関とのネットワーク化を進めるとともに多方面からの科学的検討が必要と考える。

本共同研究もその一環として実施するものであり、未知の分野である自動車排出ガスに起因するナノ粒子に関し、計測技術の開発、排出実態の把握、大気中での動態、生体への影響等について科学的評価を行うことを目的としている。

共同研究の概要は、下記の通りである。

なお、共同研究の期間は平成15年度から5ヵ年間を予定しており、研究計画や成果については広く公表していくこととしている。

1. 本共同研究の目的

本共同研究の目的は、自動車の排出ガスに起因するナノ粒子の生体への影響を科学的に評価することであり、国民の健康を守る行政の施策に科学的基礎を与えるとともに、より一層の環境保全のための自動車エンジン開発の方向性検討に資するものである。

2. 共同研究実施の背景

ナノ粒子は、これまで健康影響評価の対象とされてきた0.1〜数ミクロンの粒径の粒子とは異なる体内動態や健康への影響が考えられる。

 一方、自動車排出ガス中のナノ粒子の生成機構、計測技術、環境動態についてその多くは明らかとなっておらず、生体影響研究にあたっては、自動車工学をはじめとする多分野の共同により研究を実施することが必要となっている。

3. 共同研究の概要

本共同研究の実施期間は平成15年度からの5ヵ年の予定である。共同研究においては、自動車排出ガスに起因する粒径が数十ナノメートル以下の粒子を対象とするものとして、その生体影響の解明に取り組む。

ナノ粒子の生体影響の評価に当たっては、ナノ粒子の性質、分析法、発生、動態、曝露、毒性、生態影響を総合的に考慮する必要がある。このため、本共同研究においては、ナノ粒子及びその凝集体について、広範な研究を視野に入れて、他の機関や研究プログラム(JCAP等*1)における取り組みを勘案しつつ必要な研究を実施する。具体的には、両者が実施する研究の中で、両者の所有するデータ・知見等の情報交換、企画・計画の共有、共同研究グループによる研究の推進、ワークショップ等会議の共同運営等の研究活動を行う。

研究計画および成果は、一般に公表するとともに、必要に応じて第三者の学識経験者等からなる助言委員会を設置することとしている。

4. 共同研究への参加予定機関等

独立行政法人国立環境研究所、社団法人日本自動車工業会、財団法人日本自動車研究所、ほか

5. 自工会の取り組み

当面は、ナノ粒子の計測法の開発を推進し、その後、排出実態把握・大気中の動態・生体影響等の研究に取り組む予定である。

以 上

*1:JCAPとはJapan Clean Air Programの略。経済産業省の補助により大気環境改善のための自動車業界と

石油業界の共同研究プログラムであり、(財)石油産業活性化センター(PEC)が実施している事業である。

(*環境省記者クラブ、筑波学園記者クラブにも同内容のリリースが国立環境研究所より配布)

ナノ粒子生体影響研究のフレームワーク