JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2018年04月09日

2017年度二輪車市場動向調査の概要

1.調査設計

(1)新車購入ユーザー調査

調査手法 郵送調査法
調査地域 全国
調査対象 2016年6月〜2017年5月に新車を購入した二輪車ユーザー
対象者抽出 調査応諾者より、タイプ別×排気量別に市場構成に合わせ対象者を割当、抽出
但し、輸入車は日本自動車輸入組合を通じ7社のインポーターからご協力を得た
調査期間 2017年8月15日〜2017年9月28日
サンプル数 5,062s

(2)トピック調査

①インターネット調査
調査対象 A.高頻度ユーザー / B.低頻度ユーザー / C.レンタルユーザー
D.過去保有層 / E.未保有層 / F:潜在需要層
調査期間 2017年10月18日〜10月23日
サンプル数 A:600s / B:300s / C:200s / D:300s / E:300s / F:300s
②インタビュー調査
調査対象 東京モーターショー2017に来場していた17〜28歳男女
調査方法 調査員によるインタビュー(1人10分程度)
調査期間 2017年

2.新車購入ユーザー(時系列)調査結果

1)二輪車をめぐる諸環境
二輪車需要は2013年度以降、緩やかな減少が続いており、新規免許取得者数の減少も継続している。

2)二輪車ユーザーの特性
長期的に高齢化が進み、若いユーザーが減少傾向にある。

3)使用状況
二輪車の使用日数、走行距離が減少。二輪車に乗る機会が減っている。

4)需要構造の変化
新規購入者が減少し、一時中断・再度購入者を下回る水準へ。
既存ユーザーの買い替え需要が顕著に多くなるなか、平均使用年数の長期化が需要を押し下げている。

5)購買行動
販売店に加え、ネット情報が購入に影響。新規購入者では、メーカーWebサイトが重要な情報源となっている。
新規購入者では、身軽に動ける、行動範囲が広くなるなどを中心に、二輪車への期待感が前回から上昇している。

6)二輪車使用評価と課題
購入二輪車に対する事前期待(購入したときに期待していたこと)は、自転車に比べて楽に移動できることがあがるが、新規購入者では、行動範囲が広がり、今まで行けなかったところに行ける、大人になった気分を味わえるなど、よりポジティブな期待があがる。
新規購入者では、仲間づくりが事前期待として上昇しているが、充足度は他の期待と比較すると相対的に低い。
実際の使用にあたっては、駐車場、高速道路料金などは改善傾向にあるとはいえ、ユーザーの不満は根強い。

7)二輪車の楽しみ方と期待
二輪車を使った遊びの実施意向が高い(一般的なツーリングに加え、サーキット体験走行や海外ツーリング)。
アパレルの購入に対する意向が高い。新規購入者は様々な楽しみ方を期待して二輪車にエントリーしている。
駐車場不足、高速道路料金や維持費の低減への改善期待が高い。

8)今後の意向
二輪車の継続乗車意向は根強いものの、今後、高齢化に伴い二輪車への乗車を断念せざるをえないユーザーが増えることが予想される。上級免許取得意向が減少するなか、大型二輪の取得意向は継続して高い。

 

II.トピック調査結果

1)新規購入者の特性と購入プロセス
新規購入者(初めて二輪車を購入)の中で、ユーザーの質的な変化が起きている。新規購入者は、現ユーザー(二輪保有者)と比較して、若年層(29歳以下)や女性が多く、近年は女性が拡大している。エントリーの背景要因には、二輪車にポジティブなイメージを持っていること(かっこいいなど)や、二輪車への期待が大きいことがあげられる。

2)二輪車購入の潜在層
二輪車に乗る人、購入意向がある人は幅広く存在している。中古車ユーザー、レンタルユーザー、過去保有層、
未保有層、潜在需要層である。未保有層(二輪免許を保有するが、二輪車の保有経験が無ない人)、潜在需要層(二輪免許は非保有だが、今後二輪車購入意向がある人)は、女性や若年層が多い。

3)潜在層の特性と阻害要因
二輪車市場では、中古車ユーザー、レンタルユーザー、過去保有層、未保有層、潜在需要層など、潜在的な裾野が広い。上記にあげた5つの層は、二輪車の購入意向が高いが、実際の購入には様々な阻害要因を抱えている。

①中古車ユーザー:中古車ならではの魅力でエントリーした若い男女

  • 現ユーザーのなかで中古車購入は3割を占め、中古車は、若年層の二輪車へのエントリー(新規購入)の受け皿になっている。
  • 中古車を購入する理由は、「新車を購入する経済的な余裕がないから」が34%と最も高いが、「欲しいモデルが中古車でしか販売していなかったから」「中古車のほうが探しやすいから」「中古車は取り扱いに気を使う必要がないから」「カスタムにお金をかけたかったから」など、中古車でしか味わえない魅力があがる。

②レンタルユーザー:大都市潜伏ライダー

  • 30〜40代、都市部居住、高所得層がレンタルバイクを使用。「旅行先での移動」「出張先での移動」「居住地からのツーリングや旅行」「気分転換としての二輪車の運転」を目的として使用されている。
  • レンタルユーザーの中で、二輪車を買いたい人は4割。購入に至っていないのは、「手頃な価格の二輪車がない」「気に入った二輪車がない」「駐車スペースがない」からである。

③過去保有層:購入の壁が大きい男性ミドル層 

  • 二輪免許保有者のうち、過去保有層は26%にのぼる。現ユーザーと比較して、男性50代、子供がいる層、市街地居住が多い。
  • 二輪車を購入できないのは、「購入のためのお金がない」「維持費やガソリン代がかかる」「手頃な価格の二輪車がない」といった経済的な要因に加え、「二輪車に乗る必要や機会がない」「家族などに反対された」などが壁となっている。

④未保有層:移動欲求が高い男性

  • 未保有層は男性40代が多く、現ユーザーと属性が異なる。
  • 未保有層は、「まだ自分が知らないところへどんどん行ってみたい」など移動欲求が高い。「達成感」「体験」「世界観」「自分発見」が二輪車に乗りたい動機となっている。購入に至らないのはコストの問題が大きい。現ユーザーと比較すると、免許取得時に購入したい二輪車が決まっていない人が多い。

⑤潜在需要層:人との共有、身近な遊びをつくりたい女性

  • 潜在需要層は若い男女、都市部居住が多く、現ユーザーと属性が異なる。
  • 潜在需要層は、「予定外の行動はなるべく避けたい」「遠くに行くよりも身近なところでゆっくりしたい」「遠くの土地よりも、普段自分が住み慣れている土地で楽しみたい」など、身近な場所での遊びを求める。
    免許取得や購入に踏み出せないのは、「購入に必要な情報が少ない」「どのような二輪車があるかわからない」「二輪車がどこで買えるのかわからない」からである。

4)情報・サービス期待
二輪車に乗る人の社会的イメージを向上させ、二輪車にエントリーしやすい環境づくりが求められる。
イベントでのリアルな体験や、ネットを通じたコミュニケーションが期待されている。

5)新規購入者取り込みのための切り口
中古車ユーザー、レンタルユーザー、過去保有層、未保有層、潜在需要層など、二輪車の潜在的な需要層は幅広く存在している。新規購入者を拡大するとともに、潜在層に対しては阻害要因を軽減することで、バイクに乗る人を増やすための「ステップアップの促進策」が求められると考えられる。

  • 新規購入者は、現ユーザーと比較して若年層や女性が多く、近年は女性が拡大していることが確認できた。
    エントリーの背景要因は、二輪車にポジティブなイメージを持っていること、二輪車への期待が大きいことがあげられる。二輪車市場には、その他にも「中古車ユーザー」「レンタルユーザー」「過去保有層」「未保有層」「潜在需要層」が存在しており、市場拡大の余地が大きいといえる。
  • 各層を現ユーザーへと引き上げていくアプローチとしては、「レンタルユーザー」「中古車ユーザー」は新型車の試乗会(トライアル促進)、「過去保有層」は使用のきっかけづくり、「未保有層」や「潜在需要層」など二輪車の経験が浅いユーザーは免許教習所やインターネットなどの場で、エントリーへのきっかけとなるオープンな場づくりや、コミュニティを活用したサポートが求められると考えられる。

以 上

2017年度 二輪車市場動向調査(PDF:6.59MB)


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