ニュースリリース- 2002年08月19日
低硫黄軽油の供給に伴う低硫黄軽油使用と定期点検等の励行について
（社）日本自動車工業会(会長：宗国旨英)は、環境に優しい低硫黄軽油(軽油中の硫黄含有量が50ppm)の供給開始を機会に、(1)排出ガス中の粒子状物質(PM)などの発生を減少させる後処理装置取付車における低硫黄軽油の使用と、(2)低硫黄軽油使用時における長期間使用車の日常点検・定期点検の励行について、ちらしの作成、関係業界機関誌、ホームページ、関係業界向け解説資料等を通じた理解促進活動を実施する。
低硫黄軽油は、軽油の硫黄分を５０ppm以下まで低減することにより、排出ガス中の粒子状物質(PM)などの発生を減少させ、また、ＤＰＦ*2（ディーゼル微粒子除去フィルター）・触媒*3などの高度な後処理装置の使用を可能とし、環境改善に大きく寄与する燃料である。この低硫黄軽油は、本年９月から東京都内の軽油販売スタンドの一部(144ヵ所)において供給が開始され、その後順次全国的にこの低硫黄軽油に切り替えられる計画である。
《理解促進活動の概要》
- 主な訴求点
- 後処理装置取付車の低硫黄軽油使用
都内の一部のスタンドで低硫黄軽油の利用が可能となったことから、自動車メーカーでは、現在使用中のトラック・バスに後付可能な低硫黄軽油限定の微粒子低減装置の一般向け出荷も開始する。また、自動車メーカー以外の東京都が指定する低硫黄軽油限定微粒子低減装置の出荷も開始されることになると思われる。（後付可能な車種については各社にお問い合わせ下さい。）
さらに、平成15年10月から開始される国の新短期規制からは、自動車メーカーではＤＰＦ(ディーゼル微粒子除去フィルター)等、より高度な微粒子低減装置を装着した新車の出荷も予定している。
これらの車両には、従来の軽油の誤給油を防止するため、特に「Ｓ５０」ラベルが貼り付けられるので、ユーザの皆様におかれては、必ず低硫黄軽油の給油をお願いする。
- 長期間使用車の日常点検・定期点検の励行
低硫黄軽油は昨年より東京都などで試験導入されている。この試験導入の過程で温度的に厳しい路線バス*4の古い車両の一部で燃料噴射ポンプからの燃料にじみが発生した。なお、トラック・乗用車・長距離バスでは発生していない。
厳しい条件で長期間使用された車両では、一般に燃料噴射ポンプに使われているゴム製のシール材（Ｏ−リング）が熱で劣化し、シール性が低下していくので、従来から必要に応じて整備をしていただいている。
低硫黄軽油では燃料中のアロマ成分*5の割合が低下し、劣化したシールでは燃料がにじみやすくなることがある。軽油はそれ自体では極めて引火性が低く、単体で燃えることは無いが、定期点検や日常の点検で、万一、燃料にじみを認知された場合には早めに最寄の自動車販売会社等に相談すること。
ユーザ各位におかれては、環境改善への取組みにご理解とご協力をいただき、日常点検や定期点検で車の健康状態を診断して必要な整備を行い、常に快適な状態を保っていただくようお願いする。
- 実施期間
平成１４年８月下旬〜
- 訴求方法
- ちらしの作成：低硫黄軽油取扱いスタンド(144ヵ所予定)で配布(約15万部)
- 関係業界機関誌：バス・トラック・整備業界機関誌上への解説記事掲載(予定)
- ホームページ：自工会および会員各社ホームページの活用
- 解説資料：バス事業者向け等の解説資料の作成・配布
- (その他)：ポスターの作成等の検討
以 上
- 低硫黄軽油：原油に含まれる硫黄を精製時に脱硫装置で低減した軽油。硫黄分は過去から0.2%、500ppm、と段階的に低減されてきており、今回導入されるのは50ppm以下となっている。 ppm：百万分の１ 50ppm＝0.005%
- DPF：（Diesel Particulate Filter）ディーゼル排気中に含まれるすす等の粒子状物質を、多孔質セラミックス等のフィルターで捕集し燃焼させる排出ガス浄化装置。
- 触媒：自動車の排出ガス浄化装置。セラミックスの表面に貴金属等をコーティングし、表面に接触する排出ガス中のHC,CO,NOxなどのガス状の有害成分を酸化あるいは還元により無害なCO2、H20にする。
- 温度的に厳しい路線バス：エンジンが車体後部に搭載された路線バスは、低速走行でもあり冷却が難しい。また頻繁に停止発進をくりかえすことからエンジンの周囲の温度が高くなる傾向がある。
- 燃料中のアロマ成分：芳香族成分。低硫黄化に伴い芳香族も低下する。軽油中にはいろいろな成分が含まれているが芳香族は含有量に比例してゴムのシール材を膨潤（膨らませる）させる性質がある。
参考資料：都内ガソリンスタンドでの低硫黄軽油の供給開始について
|
