JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2009年04月24日

温室効果ガス排出削減に関する中期目標策定について

 政府は本年12月に開催されるCOP15を控え、我が国における温室効果ガス排出削減の中期目標について、昨年11月に中期目標検討委員会を設置し、検討が行われた結果、「複数の選択肢」が提示され、現在パブリックコメントの募集および意見交換会が実施されている。
 社団法人 日本自動車工業会(会長:青木 哲)の会員会社は、これまで燃費向上や次世代自動車の開発等を通じ、温暖化対策に積極的に取り組み、運輸部門におけるCO2排出量の着実な減少に寄与してきた。今後とも全力で温暖化対策に取り組んでいくが、温暖化対策は国民生活や日本経済に大きな影響をもたらすことから、今回の目標策定に当たり、当会は以下の通り考える。

1.日本の中期目標設定に対する当会の基本的な考え方

  • すべての主要排出国が参加する公平な枠組みの構築が前提
  • 経済的・技術的に実現可能な目標の設定
  • トップレベルの低炭素社会を実現している日本と欧米との公平性を確保
  • 目標達成のためのコスト負担等の十分な情報開示と国民が理解した上での目標の設定

2.政府から提示された選択肢について(別紙ご参照)

  • トップレベルの低炭素社会を実現している日本にとって、ケース[2](05年比▲6〜▲12%、先進国全体の排出量を90年比▲25%とし、各国の限界削減費用※1を均等にした場合の日本の排出量)という選択が妥当である。
  • 但し、欧米はケース[2]を達成するために必要な削減率※2を下回る目標しか掲げておらず、欧米との公平性は確保できていないため、政府におかれては、今後、欧米に対して日本と同等の努力を行うよう要求すべきである。
  • ケース[3]の「長期需給見通し最大導入改訂」※3については、社会全体で52兆円の対策費用が必要とされているが、対策を実行するための技術的課題の解決や国民各層の負担増加の影響を考えると実効性に大きな疑問がある。また、欧米との公平性も確保されていない。
  • ケース[4]、[5]、[6]については、実現の可能性、欧米との公平性の観点から、日本の目標とはなり得ないと考える。

    ※1. CO2を追加的に1トン削減するために必要な費用(過去の努力を反映する指標)
    ※2. EUは90年比▲23〜▲27%(現目標90年比▲20%)
    米国は90年比▲19〜▲20%(現目標90年比±0%)
    ※3. 総合資源エネルギー調査会・エネルギー需給部会が2008年に公表した「長期エネルギー需給見通しの最大導入ケース」を改訂したもの。最高効率の機器の最大限導入に向け、政策をさらに最大限強化したケース。

3.運輸部門のCO2削減へ向けた統合的対策の実施

 運輸部門のCO2削減について、自動車メーカーは、燃費の向上、次世代自動車の開発を責務と認識し、今後とも一層の取組みを行う。
 一方、運輸部門のCO2削減については、自動車メーカーの対応とともに、以下に示す統合的な対策の実施が必要であり、政府の積極的な対応をお願いしたい。

  • 低燃費車や次世代自動車普及のために補助金、税制優遇等の強力なユーザー支援の実施
  • 次世代バッテリー等、次世代自動車普及の技術的な鍵となる基礎研究の推進
  • 次世代自動車の普及にあわせた燃料インフラ整備
  • 渋滞解消等、交通対策等の推進
  • エコドライブの推進
問合せ先:(社)日本自動車工業会 環境統括部 TEL.03(5405)6122

添付:中期目標検討委員会で示された「複数の選択肢」 (PDF:64KB)
添付:ポスト京都におけるわが国の中期目標について (PDF:1.27MB)
添付:運輸部門の状況 (PDF:264KB)

以 上


Adobe ReaderPDF(Portable Document Format)形式のファイルを閲覧するには、Adobe Readerのインストールが必要になる場合があります。Adobe ReaderのダウンロードはGet Adobe Readerロゴをクリックして下さい。