JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2008年05月15日

平成20年度事業計画

平成20年度の日本経済は、米国経済の先行き不透明感はあるものの、中国やインドなど新興国の経済成長の持続が見込まれ、また、堅調な企業業績を背景に底堅い設備投資が見込まれるなど、総じて緩やかに景気回復していくものと期待される。

平成20年度の四輪車国内総需要については、原油価格の高騰による物価上昇等を背景に個人消費の伸びは緩やかなものになると思われ、また、自動車NOx・PM法の規制対象台数の減少持続等から、前年度を下回るものと予想される。

輸出については、現地生産の加速や為替動向によるものの、好調な海外需要に支えられ、前年と同等レベルが見込まれる。

二輪車国内総需要については、AT免許導入や高速道路二人乗り解禁、二輪車ETCシステムの導入など利用環境面での改善はあるものの、若年人口の減少や原付免許新規取得者の減少など構造的要因により、前年度を下回ることが予想される。

一方、アジア地域を中心とした海外需要に支えられ、二輪車海外生産は引き続き好調に推移するものと思われる。

日本の自動車産業は、我が国の基幹産業として、経済・社会の発展に貢献していくという重要な責務を担っている。そのためには、何よりも我々が活力を失わず、直面する課題に真摯に取り組み、常にたゆまぬ変革をしていく必要がある。

具体的に取り組むべき課題は多岐にわたるが、本年度は、広く社会に目を向けた「安全と環境への取り組み」、グローバル化に伴う「国際的な相互理解と協力の促進」、自動車市場の早期回復に向けた「クルマの夢・楽しさの訴求と快適な利用環境への取り組み」の3点を事業の柱として、積極的に推進する。

平成20年度における主要な事業方針は以下の通りである。

安全と環境への取り組み

安全については、政府が掲げる「世界一安全な道路交通」の実現に向けて協力しつつ、今後も更なる安全技術の開発・普及促進、広報・啓発活動の推進など、ハード・ソフトの両面にわたって最大限の努力を継続する。
特に、依然として装着率が低い「後席シートベルトの着用促進」、二輪車乗員への「ヘルメットの正しい着用」、道路交通法改正による自転車通行方法の明確化に伴う「自転車交通対策」、大きな社会問題となっている「飲酒運転の撲滅」について交通安全キャンペーンなどを通じて呼びかけていくとともに、高齢運転者の運転能力の向上に資する取り組み等についても実施する。また、ITS技術を駆使した安全運転支援システムの実用化に向けて、官民の連携を強化する。
環境については、とりわけ、地球温暖化防止への取り組みを最重要課題と捉えている。京都議定書の目標達成に向けて、低燃費化の技術開発と普及を一層進めるとともに、CO2排出の少ない次世代自動車の技術開発を協調と競争によって加速する。
さらに、生産工程から排出されるCO2削減への自主取り組みの推進、交通流円滑化のための道路対策への提言活動、ユーザーへのエコドライブの実践啓発などにも引き続き取り組む。
また、ポスト京都議定書の枠組みづくりにも積極的に協力する。
7月に開催される洞爺湖サミットにおいては、最先端の環境技術を備えた車両の提供などの協力を行う。

国際的な相互理解と協力の促進

世界各国でビジネスを展開する自動車産業にとって、貿易や投資、知的財産権や技術基準に関する環境の整備は極めて重要である。
WTOドーハラウンドや二国間あるいは地域間の経済連携協定の推進に大いに期待を寄せており、相手方政府や業界への働きかけなど、日本政府の活動を支援していく。特に、EUとの経済連携協定については、日・EU双方で民間による研究会が設立されており、今後、政府間協議に発展することを期待する。
知的財産権侵害は、二輪車をはじめとするコピー車問題や、偽造自動車部品問題などが世界中に拡散し、ユーザーへの粗悪品被害が深刻化している。当会としても、専門の委員会を新設し、日本政府や関係機関等とも連携して、関係方面への働きかけ等を行う。
本年度も大型車/乗用車グローバルミーティングの開催が予定されており、世界の自動車産業の発展に向けて、諸外国の自動車業界首脳との対話を通じて相互理解促進を図る。
世界的な自動車技術基準調和と車両相互認証制度の確立に向けて、日本が国際機関等において積極的な貢献を果たすよう、日本政府の活動をサポートする。

クルマの夢・楽しさの訴求と快適な利用環境への取り組み

お客様ニーズの多様化に対応した商品の提供や情報通信等の技術を駆使した魅力あるクルマづくりに努めることはもとより、クルマの持つ夢・楽しさを次世代ユーザーを含む全ての人々に実感して頂けるような操作・体感の場作りや、自動車旅行などクルマの快適な利用のサポートを行うとともに、安全・安心な交通社会の実現に向けた要望・提言など、具体的施策を実践し、一人でも多くの方にクルマファン、バイクファンになって頂けるよう努力する。
また、引き続き、自動車関係諸税の簡素化・軽減の実現に向けた理解活動を推進していくとともに、お客様の利便性・安全性向上の観点から、道路整備やITS技術の普及・拡大、二輪車の駐輪場整備促進への提言、福祉車両の開発・普及等、利用環境の改善に資する活動に一層注力する。
これらの取り組みが、ひいては国内市場の活性化に寄与し、自動車産業の持続的な発展につながるものと考える。

以 上