JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2012年12月20日

日本自動車工業会
豊田会長

今年を振り返って

  • 世界の自動車市場は、欧州債務危機による市場の落ち込みや中国の反日デモの影響もあったが、新興国の成長や北米市場の回復などにより概ね堅調に推移した。
  • 国内市場については、エコカー補助金の効果もあり、四輪車需要は4年振りに500万台レベルにまで回復した。
  • 一方、歴史的な超円高をはじめとする「六重苦」は解消されず、日本の自動車産業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いており、「日本のものづくり」を守り続けていくことが困難になってしまうのではとの危機感を持っている。
  • 会長就任時に「日本の元気」、「日本の笑顔」のために頑張りたいと申し上げたが、自動車業界の背負っている責任や使命の重さを痛感しながら必死で走っているうちに気がついたら年末を迎えていた、というのが正直な実感である。
  • とりわけ、志賀前会長より引き継いで取り組んできた「車体課税の抜本改革」と「クルマファンづくり」は、一歩ずつ前に進めることができたのではないか。

次期政権への期待について

  • 日本は資源国ではないので、技術力や労働力で付加価値を生み出すことによって日本の持続的成長を支えてきた。こうした国民や企業の努力を理解いただき、努力した人が報われる社会を築いていただきたい。
  • 新内閣発足後には、早速、税制改正の論議が始まる。お客様に過重な税負担を強いている自動車関係諸税の抜本見直しは、必ずや実現しなければならない。自動車取得税、自動車重量税は、道路特定財源の一般財源化により課税根拠を喪失しており、自動車ユーザーにとって不公平な税負担となっていることから、引き続きこれら二税の廃止を強く求める。
  • 貿易、投資の自由化に向けての世界のルール作りは、日本の産業界にとっても重要であり、環太平洋連携協定(TPP)のルール作りの過程で日本が実質的に関与していく必要がある。したがって、新政権にはTPPへの早期参加表明をお願いしたい。

現在の為替水準について

  • 長期に70円台が続いてきたということが異常な状況であったと思う。
  • 円高が是正されてきたとは思うが、現在の為替水準も超円高に変わりないという認識である。

日中関係悪化による販売への影響について

  • 中国における11月の日系自動車メーカーの販売は、9月、10月と比べてやや改善がみられたものの未だ厳しい状況が続いている。
  • 我々は、中国においても良き企業市民となるべく、中国のパートナーと合弁で生産・販売事業を行い、中国のお客様に喜んでいただけるクルマをこれからも提供していく。

品質に関する自動車メーカーの責務について

  • 会員各社とも、良いクルマをお客様にお届けするために精一杯取り組んでいる。
  • しかしながら、万が一、欠陥を出してしまった場合には直ちに立ち止り、徹底的に真因を追求、修正し、改善を進めることが自動車メーカーの責務である。
  • 今後ともリコール制度に則り、適正にリコールを実施していくことは重要である。

 

以上