JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2012年02月16日

日本自動車工業会
志賀会長

春闘

  • 各労組の要求に基づいて個社の現在の業績によって交渉されることになるが、「六重苦」や厳しい国際競争に晒されている中、全体的な労務費や固定費のアップについては、慎重にならざるを得ないであろう。
  • 一昔前のベースアップと定期昇給とは定義が変わってきている。自工会会員各社も賃金制度を維持していくうえでの賃金の配分の仕方は、従業員の役割や業務上の業績等の評価及び会社の業績に応じて決められるものと思っている。年功で賃金が上がっていく配分の仕方は今の日本には馴染まなくなってきているのではないか。

サプライチェーン強化について

  • 震災後のサプライチェーンを含めた生産体制の見直しについて、自工会会員各社は『サプライチェーン実態把握の強化』と『リスク対応力の強化』の大きな二つの視点と、それぞれの視点を細分化して取り組むこととした。

4月〜12月期の決算について

  • 自動車業界は単独で見ると、震災の影響、国内販売の減少、円高の差損の影響により各社とも非常に厳しい状況であろう。そうした中で米国、中国、アジア、アセアン各国、が堅調に伸びたことから連結としては黒字の決算となっているが、単独部分について円高等の中で赤字が長期化することは健全な姿ではない。早期に単独も黒字化に転じさせる努力が必要。

TPP参加関係について

  • 米国への輸出の際に乗用車で2.5%、商用車で25%の関税がなくなることはメリットではある。しかし、TPPでは関税だけではなく、全体で21項目について議論がされる。WTOの議論が中断している現在、TPPが新しい貿易のルールを作っていくことになり、その中で、GDP第3位の日本が参加することは十分に意味がある。

電力料金の引き上げ問題について

  • 電気料金は自工会全体で、1000万台生産して1000億円、日産は100万台生産して100億円となるため、台当たり1万円程度という相場観。これにコストの6割を占める外製部品への料金引き上げの影響が加味され、概ね、台当たり2000円〜3500円位の値上げと試算される。
  • 自動車業界は円高対策や六重苦の中でなんとかものづくりを残そうと、大変な原価低減の活動等に取り組んでいる中、そうした額が上乗せされることは極めて大変なこと。
    東電の方にはそうした現場の努力を見て、電気代が17%上がることの厳しさをご理解頂き、併せて、自社において同様の原価低減努力やコスト削減の努力をした上で値上げ議論を出すべき。
  • 我々は電気料金引き上げ分を簡単に製品に価格転嫁できない。
  • 東京電力の電力料金引き上げ案に対しては、まだ自工会内での相談はしていないが、業界として何らかのコメントを出す等の活動を考えている。

 

以上