JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2011年10月20日

日本自動車工業会
志賀会長

  • 自動車業界に係る社会環境は、円/ドル相場の高止まり、EUの金融システム不安、ユーロに対する急激な円高の進行、米韓のFTA締結等、日本製自動車の価格競争力低下が一層進む状況にある。政府にはこうした状況に対する適切な取組みを望みたい。
  • 現在タイで発生している洪水災害に関して、まずは、被災者の方々には心よりお見舞い申し上げたい。
    今後も情報収集と事態の推移を見極め、引続き重大な関心を以って注視していく。
    企業活動、市民生活が一刻も早く日常に戻ることを祈念している。

タイの洪水について

  • タイでの日系メーカーの生産台数は昨年実績で約160万台、国内販売市場は80万台、輸出が80万台という状況。
    タイにおける生産は、約95%が日本車。現在、日系メーカーの現地子会社等の10社のうち9社の工場が止まっている。洪水の影響が長引くと単純計算では6,000台/日の減産になる。
  • 9社のうち8社がサプライチェーンの寸断を理由に生産が止まっているため、各社は早期の生産再開に向けその復旧を図っている。
  • タイのサプライチェーンにおける在庫は1カ月分程度あり、日本に比して長い。
    各社はこの期間を利用して代替の金型を作る或いは別の生産場所を探す、さらには 日本で同じ部品を作っている場合はそこからの供給を図るといった最善の取組みを探っている。
    また、タイで生産しているクルマは日本も含めた他の国でも作っているケースがあり、こうした点が東日本大震災時との対応の違いとなって表れている。
  • 情報の共有化も必要に応じて行なえるよう連携が出来ているが、これは震災時の教訓が活かされた結果である。
    今回のケースは、自工会メンバー間の横の連絡と部品メーカーとの縦の関係の中、個社ベースで十分に情報が取れている。自工会に災害対策本部を設置することは現時点では実務上必要はないが、いつでも動ける体制は確保している。
  • 東日本大震災の後にタイの洪水の影響を受けることは、日本の自動車産業にとって試練ではあるが、こうした災害に遭っても各社が影響を最小化する努力を行っていくことを通じて日本メーカーがまた強くなり、同時に災害に強いサプライチェーンの構築が図られるといった結果が生み出せればよいのではないか。

欧州経済等について

  • 金融及び金融システムに係る不安に対しては、不安心理が消費者の購買意欲に影響を与えないよう、EU内での取組みとして不安材料の早期の除去をお願いしたい。
    また、ユーロの信用が早期に取り戻されることを切に願っている。

FTA関係

  • 本来、イコールフッティングの下、商品性を基本に競争が行われるべきであるが、韓国はFTAがEUとの間で発行し、米国とは合意に至ったため、日本とは関税の面で差が付くこととなる。ウォン安であることと併せて日本車は価格競争力で極めて不利な状況。
    本来の競争力以外の部分での公平性の確保を関係者にお願いしたい。
  • TPPについては、多国間でルール作りをしていく過程に参加し、そこから日本としての発言をしていくことに大きな意味があると考える。
    参加するによるプラス面・マイナス面を国民レベルで議論して決定していくことが正しいのではないか。
  • 自工会としてはTPPを推進して頂きたい。

 

以上