JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2011年07月12日

日本自動車工業会
志賀会長

東日本大震災の発生から4カ月が経過しました。被災された方々や避難所等での生活を余儀なくされている方、ご高齢の方、健康に不安をお持ちの方は、暑さ対策に過度な我慢を避けるなど、まずは健康や体調の維持を最優先にお考え頂きたいと思います。

日本とEUとのEIAの早期締結等について

  • 7月1日に韓国とEUの自由貿易協定が発効した。完成車に対する関税(10%〜22%)は3年から5年で撤廃されるため、日本車にとっては競争条件が不利になる。
    日本政府には、EUと日本のEIAの本交渉入り・早期の協定締結をお願いし、また、業界としても協力は行っていきたい。
  • FTAによって韓国車は大変な伸びを示している。韓国メーカーの努力による実力向上がベースにはあるが、それに加えてウォン安、欧州市場でこれから始まるFTAで日本車は韓国車に比して10%の関税のハンディを背負うことになり、一層厳しい状況になるものと見ている。
  • メーカーとしての競争すべき部分以外の要因でハンディを背負っていくことになり、悔しい思いは拭い切れない。

自動車に係る車体課税の簡素化・負担の軽減化について

  • 国内で「ものづくり」を維持するには健全な国内市場が必要であり、国内市場が低迷している原因の一つに、重い税負担があげられる。国内市場の活性化を図るためには自動車に係る車体課税の簡素化・負担の軽減化が図られるべきである。
  • 自動車ユーザーには9種類で約8兆円もの税金が課せられており、特に、取得・保有の税負担は、欧米諸国と比較して2.4倍から49倍であり、国際的に見ても極めて過重な税負担となっている。
  • 自動車には、取得段階において消費税に加えて自動車取得税が課せられている。20年以上も二重課税の状態が続いていること、道路特定財源の一般財源化により課税根拠を喪失していることから自動車取得税は直ちに廃止すべきである。
  • 同様に道路特定財源の一般財源化により課税根拠を喪失した自動車重量税についても廃止すべきである。
  • 今後、税制改正等の動向を踏まえつつ、理解・要望活動を適宜行っていきたい。

電力使用抑制関係

  • 7月入り自工会会員各社は休日シフトの実施を開始した。引き続き、社会の要請等に応え、節電の面で社会貢献していきたい。
  • これまで状況については、稼働日のピーク電力の抑制のみならず、自動車業界が休日を振替えた木曜日・金曜日についても、当初の狙い通り、大幅に使用量が抑制されており、大規模停電の発生防止に貢献できている。
  • 原発に関しては、安心と安全に対する信頼が広く得られるような状況にすることがまず必要であろう。その結果、与えられた状況の中で自動車産業として何が出来るのかということを議論していくことが大事。国民レベルでの議論で、出来る限り多くの人が納得する結論が導き出されることを希望している。
  • 一つの方向性として、また、長期的な時間軸で、自然エネルギーあるいは再生可能エネルギーにシフトしていくという考え方は決して悪い話ではない。
    また、日本にとっては、COの問題やエネルギー問題の観点からも悪い話ではない。そうした場合のエネルギーコストについては、シナリオ毎に数字を置いてみて、国民生活、家庭への影響も含めて議論を経、納得を得て進めていくことが大事だと思う。

為替水準について

  • 1ドル80円が定着している状態は大変厳しく、採算に乗せるという実現不可能な 課題に挑戦している気持ちだ。

以上