JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2011年06月20日

日本自動車工業会
志賀会長

東日本大震災の発生から3カ月余が経過しました。
夏場が到来に伴い、被災された方々・ご不自由な生活を余儀なくされている方々におかれましては、これまで以上にお身体をいたわって頂くなど、健康について一層ご留意されることを切に願っています。

「日本経済の新たな成長の実現を考える自動車戦略研究会」での検討状況

  • 研究会では、次世代自動車の役割、今後のサプライチェーンのあり方、車体課税の簡素化、法人実効税率引下げ、EPAの推進等多岐にわたって検討している。
  • 今回、中間的な取りまとめが図られたが、官民のこうした検討に基づいて今後、最終とりまとめられることを期待している。

自動車取得税の廃止に向けた要望活動の展開

  • 2010年度の自動車の国内市場及び国内生産状況を踏まえ、雇用の維持と空洞化を回避するため、消費税との二重課税で、かつ道路特定財源の一般財源化により課税根拠を喪失している自動車取得税は、直ちに廃止すべきと考えている。
  • 政府では、消費税率の10%への引上げが検討されているが、自動車取得税と消費税との合計で15%もの税が課せられることになれば、新車販売に壊滅的な打撃を与える。
  • 自動車取得税の廃止をはじめとする車体課税の簡素・軽減について、理解要望活動を精力的に展開していきたいと考えている。

夏期ピーク電力抑制に向けた対応状況

  • 現在、各社は7月から9月の間、全国規模での休日シフトの実施に向けそれぞれの事情を踏まえ、最終調整を行っている。また、厚生労働省ならびに全国知事会をはじめとする自治体、関係機関や施設等に協力をお願いした。
  • 自動車産業の今回の取組みは、休日を電力消費の少ない土曜・日曜に変えて、平日の木曜・金曜にシフトする取組みである。従って、従来、必要に応じて土曜・日曜に休日出勤することがあることと同じ理由で、各社の事情に応じて木曜・金曜での出勤はあり得る。
    一部のラインや部品製造のために休日出勤となっても、全体の使用量は抑えられ、また、測定により使用電力のピークを超えないようにするため、節電と休日出勤との両立は矛盾しない。
  • 木曜・金曜を休日とすることで計画停電・大規模停電のリスクが社会的に軽減でき、かつ、その分の電力が真に必要とする方々に回るということで、社会に貢献しているものと信じている。
  • 共同使用制限スキームに参加した会員メーカーは、東京電力管内の乗用車メーカーの日産、トヨタ、ホンダ、富士重、マツダで、関連会社を含めて31社。それ以外の会社として12社が参加し、合計43社となった。

為替水準の是正

  • 依然として想定を超えた円高状況にあり、経済のファンダメンタルズを全く反映していない。円高は自動車産業全体に甚大な影響が出る喫緊の課題であり、その早急な是正について改めて関係者にお願いしたい。
  • 自動車総連の西原会長と共同でステートメントを出したが、これは、輸出向け生産が出来るようになった矢先の1ドル80円割れであり、復旧途上にある自動車産業の労使として現在の円高は看過できない状況との認識を共有したためである。80円で利益が出るということはあり得ない。

国内販売需要

  • 想定より早い回復とはなっているが、需要の見通しは全社的に生産が完全に回復する時期が正確に見える秋口頃に示したい。
  • 感触としては、今後徐々に回復していき、10月以降は輸出部品も含めて、震災前の状況に戻るのではないかと思っている。

自動車戦略研究会でテーマのひとつとしての部品仕様共通化について

  • 一般論では、リスク分散やコストが下がってお客様にとってもメリットが出てくる。
    一方、標準化が進めば、差別化されないため、通常はコストが最大の競争条件になり、サプライヤーにとって厳しくなるのみならず、海外生産が進み、逆に空洞化に拍車をかけることにもなりかねない。
    このように共通化はメリットと気をつけなければならない点の両面がある。
  • 今回の研究会では、無駄な仕様や歴史的に古い仕様の整理等、メーカー側の努力でできる部分があり、そういうデメリットを出さないで標準化出来ることもあるのではないかということが議論された。
  • メーカー、サプライヤー、お客様の皆がwin-winとなる取組みであり、まず出来ることは何か、できるところから考えよう、ということになったものと思っている。

以上