JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2011年02月08日

志賀会長

第42回東京モーターショー

  • 今回のショーテーマは「世界はクルマで変えられる。」“Mobility can change the world”とした。
    クルマは移動手段だけでなく、環境・安全・エネルギーなど世界の様々問題の「解決手段」となりつつあり、こうしたクルマ社会の未来を明るく、大胆に世界に向けて発信していくとの強いメッセージが込められている。
  • ポスターデザインについてはタイヤ・ライト・ボディが現実にはあり得ない配置になった“変化しようとしている車”をイメージし、先端テクノロジーが生み出す未知なるものへの期待感と、誰もが楽しめるショーの華やかさを表現している。
  • 出展状況等の詳細については4月下旬の公表を予定しているが、自工会会員メーカー14社、並びに海外メーカー10数社が参加頂ける見通しである。

自動車の役割と安全・環境への取り組み

  • 2004年に自工会として「安全」と「環境」の問題解決に向けて、以降10年間の取り組み指針を策定したが、これに基づいた現在の取り組み状況など最新の情報を盛り込み「自動車の役割と安全・環境への取り組み」を発行した。
  • 当会が豊かなクルマ社会の実現に向けて、総合的に取り組んでいることを理解いただける内容となっている。

世界の自動車販売状況について

  • 2010年世界の自動車販売台数は約7,400万台となり、リーマンショック以前の2007年の水準を上回った。
  • 日本・米国・欧州(G5)の2011年実績は2006年比で約22%減少、一方、BRICsは倍増している。
    また、日本市場はこの5年間に78万台減少している。国内においては政府の新成長戦略に基づいた取り組みの着実な実行と自動車メーカー(民間)の努力により、市場を活性化させていきたい。

春闘について

  • 自動車総連は統一的な賃金改善要求を見送ったが、個別労組の判断に委ねたものと考える。各社からは好調な業績が公表されているが、国内市場や輸出は大変厳しい状況にある。
  • 各社は円高を克服するための様々な取り組みが進めている中で、春闘については賃金の問題、雇用の確保、また国際競争力といったことを観点に個社で進められるものと認識している。

新興国リスクについて

  • 成熟市場では大きな成長が見込めない中で、新興国への進出を積極的に行う必要がある。これには為替変動、政変による大きな経済変化など、様々な問題も含んでいるが、ある程度リスクを負いながら積極的に攻めていく姿勢が重要と考える。

国内販売の現状について

  • 販売実績の減少幅が徐々に縮小してきており、もう少し状況を見極める必要があるが、ディーラーへの来場や商談状況から底打ちしつつあるという感触はもっている。

自動車関係諸税について

  • 例年、自動車関係諸税の簡素化・軽減に向けた本格的な活動は秋口に実施するが、来年度は税制改正の正念場と位置付けており、既に税制改革フォーラムで活動内容につき議論を始めている。

円高について

  • 円高の影響は国内の生産・輸出にタイムラグを持って出てくると考えている。各社の決算発表の数値を見ると業績が回復しているように見えるが、新モデル車の投資を行う際、現在の為替水準では難しくなる。
  • 業績が回復していることから、既に円高を克服できているとの印象を持たれることを心配している。政府におかれては、引き続き確固たる対応をお願いしたい。

韓国メーカーの躍進について

  • 現代自動車、起亜自動車の躍進を評価している。為替(ウォン安)、FTAの締結、法人税の部分で競争環境に差はあるが、それを除いた企業本来の競争力についても力をつけてきていると思う

新日鉄、住友金属の合併について

  • 日本の鉄鋼メーカーが鉱山会社に対する発言力を持つ、或いは海外での鋼材調達が容易になることは歓迎である。
  • 合併の承認については公正取引委員会が法律に基づき判断されることになるが、グローバルな競争の中で、日本企業が日本国内の法律によって競争力を出しきれないということが起こらないようにして頂きたい。

豪州とのEPAについて

  • 自由貿易の推進にあたっては加盟国すべてが最恵国待遇で関税削減を図るWTOドーハラウンドの早期合意が基本と考えるが、WTO交渉が難航していることからEPAの推進が重要となる。
  • 日本の自動車メーカーが他国メーカーとの競争に劣後することのないようして頂きたい。
  • EUや豪州との協議について政府の積極的な取り組みを大変評価している。

以上