JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2010年12月17日

志賀会長

今年を振り返って

  • 改めて今年1年を振り返ると、年前半はエコカー補助金が延長され、国内市場は回復基調を辿ったが、年後半は同補助金終了の影響による大幅な販売減少と、急激な円高の進行による収益の悪化が同時期に重なり大変厳しい年となった。

国内需要について

  • 2010年の四輪車国内需要は、年前半は景気の緩やかな回復に加え、エコカー減税・補助金による需要喚起により市場は大きく回復した。年後半は秋以降の急速な円高等により、景気が踊り場を迎えていることに加え、9月初旬にエコカー補助金が終了したことにより厳しい状況が続いている。その結果、通年では495万5千台・前年比107.5%と見込んでいる。
    2011年はエコカー減税は継続するも、景気に対する不透明感と補助金終了後に伴う反動減から、446万5千台・前年比90.1%と見込んでいる。
  • 二輪車の2010年国内需要は41万9千台・前年比96.7%、2011年は40万9千台・前年比97.6%と見込んでいる。
  • 来年は東京モーターショーが開催年にあたり、これを契機として需要の盛り上げに努めたい。
  • 我々は引き続き、新型車などの魅力ある商品の投入やエコカー減税を積極的に活用し、国内市場の活性化に向けた取り組みを一層強化していく。

CОP16について

  • 米国や中国を含む主要排出国が2020年の削減目標を掲げたコペンハーゲン合意を基本として、2013年以降の枠組みを検討することになった点は評価できる。
  • 大変厳しい交渉の中、我が国の基本原則を最後まで貫いた日本政府に心から感謝申し上げる。
  • 我々は日米欧3極自工会によるサイドイベントを開催し、運輸部門のCO排出量削減のため自動車業界のみならず、全ての関係者が取り組むこと(統合的取り組み)の重要性について理解活動を実施した。
  • 政府におかれては地球温暖化問題解決のため、全ての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある枠組みの構築に向けて、今後とも粘り強く国際交渉に臨んで頂きたい。

税制改正大綱について

  • 産業界が強く要望していた法人税減税について、厳しい財政事情にもかかわらず政府が5%引き下げを決断したことを歓迎する。
  • 政府におかれては、円高対策やEPA/FTA締結に向けて積極的に取り組み、日本企業が国際的にイコールフッティングで競争できる環境を早期に整えて頂くようお願いしたい。
  • 我々は国内での生産について、イノベーションセンターあるいはマザープラントとして捉えている。
    日本の「ものづくり」を大切にして、雇用の拡大に貢献できるよう取り組んで参りたい。
  • また、来年は車体課税の抜本見直しが行われる年になる。我々が長年にわたり要望してきた自動車関係諸税の簡素化・軽減を実現するため総力をあげて取り組みたい。

円高について

  • 為替相場について、対ドル84円台前後で推移しているが、我々は円安との認識は持っておらず、依然円高状況にあることに変わりなく、企業の収益に大きく影響している。
  • 政府におかれては、引き続き適切な対策をお願いしたい。

米・韓FTAについて

  • 日本からの輸出先として米国市場は大きな市場であり、韓国車とは同じアジアブランドとして競合するケースが多くなっている。今後、韓国車の輸入関税が見直されることにより、日本にとって不利な条件下での競争を強いられることになる。
  • 政府におかれては、同じ競争条件になるよう自由貿易協定の締結に向けた交渉を推進して頂きたい。

以上