JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2010年11月18日

志賀会長

自動車関係諸税の簡素化・負担の軽減について

  • 自動車ユーザーには、取得・保有・走行の各段階で合計9種類・8兆円もの税金が課せられており、これを簡素化・軽減することが自動車業界の長年の要望である。
  • 自動車取得税、自動車重量税については道路特定財源の一般財源化により、既に課税根拠を喪失しており、直ちに廃止されなければならない税目である。
  • 環境自動車税については、本来廃止されるべき自動車重量税の存続を前提としており、制度論以前の問題として容認できるものではない。
  • 地球温暖化対策税の導入にあたっては、その目的・効果、産業や家庭にあたえる影響などを明らかにして、国民的な議論を経た上で決めるべき。

法人実効税率について

  • わが国の法人実効税率は、約40%と20〜30%台が中心のEUやアジア諸国と比べ、極めて高い水準となっており、企業の国際競争力の維持・強化を図るとともに、国内空洞化を防ぎ雇用を維持拡大するためには、同税の早急な引き下げが必要である。まずは、来年度税制改正において、少なくとも5%の引き下げを行い、その後、速やかに国際水準である25〜30%程度に引き下げるべきである。
  • なお、同税引き下げの代替財源捻出のため、租税特別措置の縮減等、いわゆる課税ベースの拡大が検討されているようだが、企業の税負担が下がらなければ意味が無く、特に研究開発促進税制は企業の技術革新に資する極めて有効な制度であり、本制度を是非とも恒久的措置としていただきたい。

経済連携協定(EPA)について

  • 日本国内の研究開発や生産の拠点こそが、常に最先端の技術や商品を生み出し、付加価値を高めるイノベーションセンターであり、マザープラントと捉えており、今後とも国内にこの機能を残していきたいと考えているが、EPA/FTAの遅れにより、国内での「モノづくり」を継続することが大変厳しくなっている。
  • 韓国はFTAを積極的に推進しており、現在、交渉中のものを含めると、世界の自動車市場の約6割以上に相当する4,100万台において関税の恩恵を受けることが可能となる。
    これに対して日本は800万台程度に止まり、実に3,000万台以上の市場でわが国の自動車メーカーは重いハンデを背負った競争を強いられることになる。
  • 日本での生産および雇用を維持するために、政府におかれては世界市場で各国の自動車メーカーと同じ土俵で競争できるよう韓国をはじめとする、他国との競争に劣後しない内容でEPA交渉を一層推進していただきたい。特に、EU・米国・中国など世界の主要な国々との交渉を早急に開始していただきたい。

国内市場について

  • エコカー補助金終了により、しばらくは前年比減の状況が続くと思われるが、来年度末まで実施されるエコカー減税の活用等、販売促進活動を積極的に実施し、反動減の大きさを最小化していきたい。

中国からのレアアースの対日輸出が滞っていることについて

  • 会員各社で差はあると思うが、現時点でサプライヤーを含めて様々な対策を取っており、突然逼迫するという状況ではない。自動車業界では、レアアースの使用量削減、リサイクル、代替材料の開発等、生産への影響を回避すべく取り組んでいる。政府におかれては、政府間で友好的に決着していただきたい。

GMの再上場について

  • 日産自動車COOの立場で発言するが、GMは世界の自動車市場をけん引し、歴史・技術・人材のある自動車メーカーであり、再建を果たされたことは大変喜ばしく、歓迎すべきことと思う。

以上