会長会見 2006年06月16日
(張会長)
安全と環境への取り組みについて
- 自工会は2年前に安全と環境の課題解決に向けて具体的に取り組むべき施策を取りまとめた『豊かなクルマ社会の実現に向けて』を発行した。今回、新しい情報やデータを加えた概要版を発行した。
- 自動車業界が交通安全や地球温暖化防止等に積極的に取り組んでいることを、広くご理解いただきたいと思う。
交通対策によるCO2削減効果のケーススタディ結果について
- 自工会は地球温暖化防止への取り組みの一つとして、交通施策によるCO2削減を確実に推進するため、PDCA(Plan/Do/Check/Action)サイクルを確立し、施策実施によるCO2削減効果の分析・評価を行うことの必要性を提案してきた。
- 今回、首都高速王子線のCO2削減効果を推計したところ、道路整備がCO2削減に有効であり、既存の交通管制データを用いて交通施策のCO2削減効果を定量的に評価できることを確認できた。
道路整備のあり方について
- 道路特定財源見直しについては、道路整備の必要性に関する議論よりも、どちらかと言うと一般財源化の議論が先行している。
- このような状況を踏まえ、自動車税制改革フォーラムによる本年4月実施のアンケート結果で明らかになった自動車ユーザーのニーズを踏まえつつ、交通事故低減や交通流改善による環境負荷低減の観点を中心に、道路整備の必要性を提言した。
- 7月上旬にも取りまとめられる「骨太方針2006」が、一般財源化に反対する827万人余りの自動車ユーザー・納税者の声を無視するものとならないようにお願いしたい
国内自動車市場について
- 国内景気は持続性のある回復基調が続いていくと思う。原材料やガソリンの高騰が懸念材料と言われているが、自動車の売れ行きには大きな影響を与えていない。しかし引き続き注目しなくてはいけないとも思う。
- 今年の需要は暦年ベースでは593万台と見ている。軽のほうへ少し需要がシフトしているが、トータルでは予測した593万台の線に乗っていると思う。
次世代クリーンエネルギー車について
- 自動車業界は既存のガソリン車の燃費向上についても一所懸命やってきている。無段変速機やATの多段化が進んでおり、またエンジンの中の摩擦を減らすとか、最適な回転数に合わせてコントロールする等の改善の余地も残っている。
- ハイブリット車をさらに拡大していくのが日本の一つの方向だと思うが、ディーゼル車やエタノール車等も各社は取り組みを進めている。
- ヨーロッパでは各社とも優れたディーゼル車を開発してきているが、日本の市場ではお客様がPMやNOx等の排気ガスにある種の拒否反応があるので、今のままではなかなかディーゼルは進んでいかない。
- 完全にPMを除去するためにフィルターを着けると(価格が)少し高くなることをご理解いただきながら、段々とディーゼルを増やしていくことが大事。自工会だけではなく関係団体や官庁も一緒になって理解活動をやっていかなければ、ディーゼルの普及にはすごく時間がかかると思う。
- エタノール車については、ブラジルでは100%や85%の濃度のエタノール車を開発している、あるいは技術的には大体出来ているという話もあるが、日本ではインフラがなく、こちらも時間がかかるのではないか。
- 自動車業界としては、どの燃料が来ても対応できるよう技術開発やコストダウン、品質改良等を進めていく。
日銀総裁の村上ファンドへの拠出について
- 新聞やテレビを見る限り法律に違反していないようであり、情報もないことから、特にコメントはない。
ゼロ金利解除の影響について
- ゼロ金利解除の影響を今の段階では心配していないというのが正直なところ。
- 経済に影響のないように慎重に対応していただくことを期待している。
日米関係について
- 日本の自動車メーカーは米国で現地生産化を進めており、米国で売れている日本車の3分の2は現地生産車。現地調達部品も拡大しており、米国の経済や雇用に多くの貢献をしている。80〜90年代の摩擦時とは状況が変わっていると思っている。
- 各社の各工場も地元に溶け込む努力を続けてきており、今は日本の企業ということではなく本当に地元の企業として上手く溶け込んでいると思う。
- 自工会のワシントン事務所や各社の出先で注意深くウォッチしており、今の販売の状況によって摩擦が再燃することはなさそうだが、各社とも今後も慎重に対応していく。
環境規制が自動車メーカーの商品戦略や経営に与える影響について
- 日米の排ガス規制強化や欧州のCO2の自主協定等をクリアするために、自動車を小型化するのは一つの傾向だと思う。
- 小型車のほうが価格は安いが、普通にやっていたら原価はそれほど下がらない。これが過去何十年かの自動車各社の経営上のチャレンジだったと思う。今後は小型化だけでは対応できない規制もかかってくるので、また大きなチャレンジ目標ができたと考え、各社は発想を原点から見直して頑張るのではないか。
- 土地が広く行動距離が長いところは大型のクルマが出るし、その住環境や気候に合った頑丈なクルマが出る地域もある。全部が全部小さいクルマに移行するわけではなく、上手くミックスして経営をしていかなければいけない。
株価について
- 株価が少し下がっているが、今のところ実経済には影響はないと見ている。
- 米国の金利や為替の動向、原材料や鉄鉱石の高騰などは先行き不透明であり楽観はできないが、日本の経済は堅調であり3月期の各社の業績も良いので、今の段階で心配することはないと思う。
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