JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2006年05月18日

(張会長)

就任挨拶

  • 環境や安全問題への対応など自動車産業に対する社会的要請は一層強くなってきており、自工会の使命として社会に対して自動車産業への理解と共感を得ていくことがますます重要になっている。
  • (1)社会との対話、お客様本位に立った自工会活動、(2)モノづくりに立脚したリーディングインダストリーに相応しい行動、(3)クルマの夢や楽しさ、素晴らしさの具現化と訴求、の3つの基本姿勢で自工会運営に取り組んでいく。
  • 「対話と共感」をキーワードに努力していく。

副会長挨拶

  • 環境や安全の領域では自工会としてやるべきことも多々あると思う。そういう領域では特に張会長をサポートしていきたい。(福井副会長)
  • 長年海外、特に中国やアジアでの事業に長く関わってきたので、グローバル戦略のところで自工会に貢献していきたい。(志賀副会長)
  • 石油、為替、中国など不安定な要素がたくさんあるので、張会長を支援していきたい。(渡辺副会長)
  • 事務局を束ねて全力で張会長を支えていきたい。(名尾副会長)

海外戦略の加速を踏まえた自工会の課題とスタンスについて

  • 国内生産が一定で海外生産のほうが上昇傾向にあるが、競争が激化していくので簡単には伸びていかない。
  • 日夜努力して国際競争力をさらにつけることが大事。安全、環境、クルマの楽しさ等は、煎じ詰めれば技術競争になる。
  • その一方で、全体のバランスを常に考えることも大切。自動車は裾野が広く、影響力の大きい産業。それぞれの国に配慮して、その地域やお客様に喜んで受け入れてもらえる現地生産を進めていかなければいけない。
  • 競争一本槍ではなく「競争と協調」の部分もあると思う。環境などの分野で直接競争に関わらないところでは、協調する分野がまだある。また東南アジアのように、一方ではクルマを作って東南アジアのお客様に買っていただき、一方で現地の生え抜きのサプライヤーさんを育てるようなこともしているが、これも協調と言えると思う。

国内自動車市場について

  • 軽自動車を除くと400万台を切るくらいで、ここ数年増えていない。
  • この要因は、我々メーカーからすれば、まだまだ魅力的なクルマの作り方が足りないということ。
  • 公共交通機関が発達していないところでは一家に4台も5台もクルマを持っているが、都会ではそこまでいっていない。魅力的なクルマを作ればまだ増える余地はあるのではないか。

道路特定財源の一般財源化反対について

  • 先日、JAF(日本自動車連盟)をはじめとした自動車関係のグループと石連(石油連盟)や全石連(全国石油商業組合連合会)と一緒にキャンペーンを実施した。
  • それぞれの立場でユーザーを代弁して一所懸命やった結果として、827万人の署名が集まった。また6万人のお客様へのアンケートでは、道路は十分でないという回答が約75%あり、一般財源化反対も80%以上あった。この数字は我々も重く受け止めているが、政府・関係者も重く受け止めていただきたいと思う。
  • 渋滞の解消や港湾や空港へのアクセス道路など、まだ道路を作らなければいけないと思っている。もし道路は要らないと言うのであれば暫定税率を元に戻してほしいという気持ちは変わっていない。

原材料価格高騰について

  • 自動車は非常に競争が激しく、自動車の値段は市場が決めているところがあるので、原材料価格が上がったから自動車の価格も高くして売るというわけにはいかない。
  • これまでもコスト削減等のいろいろな合理努力をして原材料の高騰分を吸収してきた。今後もそういう努力が一番大事だと思っており、原材料メーカーさんにも一緒に努力をお願いしたいと思う。

国内景気やガソリン価格上昇が自動車産業に与える影響について

  • 日本も長い景気低迷時期を脱した実感はあり、この上昇機運を大事にしていくべき。
  • ここにきて輸出も含め国内生産が上がってきている。国内生産が上がることにより部品や材料の購入も増えるため、自動車産業が頑張ることによって日本の経済は少しでも上向きになると思う。
  • 世界中でガソリン価格が上がっており、これにより自動車販売のセグメントが変わるのかどうかについて最大の関心を持っている。まだ実際には小型車にシフトしたというようなことはないが、日本やアメリカでどうなるかについては注意深く見ていかなければならない。