JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2006年02月17日

(小枝会長)

自動車各社の決算について

  • 各社によって事情が異なるので一概にはコメントできないが、概ね好決算だったと思う。

春季労使交渉について

  • 自動車各労組の要求が出揃ったが、個々の要求はそれぞれの労組が組合員の意見を集約した結果決定したことであり、今後それぞれの労使間でいろいろな角度から論議を重ねて協議をしていくと思っている。
  • 繰り返し申し上げているが、各社によって事情が異なるので横並びの賃金体系はあり得ないと思っている。企業間の経営実態や業績には差があり、賃金交渉は個々の労使で解決すべき。
  • 各社の10−12月期は好決算だったが、自動車産業は国際競争が大変厳しくなっており、「国際社会の中での日本の賃金」ということを意識して対応しなければならないと思う。
  • 短期的な成果については、従来から申し上げているとおり賞与や一時金に反映するのが望ましい。
  • 春季労使交渉は一番大きな交渉の機会なので、賃金だけではなくワークライフバランスなどいろいろな議論をされることを期待している。
  • GDP成長率や百貨店販売等が改善していることについての認識は労使で一致すると思うが、だから自動車も賃金を上げるかということについては、じっくり論議をしていくことになろう。
  • 基本的な考え方として、賃金を上げ続けると競争力に大変響くが、組合員の努力で成果が上がっているわけだから、良い成果が出た会社は一時金等で報いることもひとつの方策だと思う。
  • 日本で自動車産業が競争力を維持するために、各社や部品メーカー、組合員が頑張って努力をして国内で1千万台の生産を確保しているところ。人手不足だから賃金をそのまま上げるということになると、海外で生産したほうが競争力が出るということになる。
  • 非正規労働者については、自動車産業としてはある程度のフレキシビリティを持った短期の雇用形態も必要と考えている。

国内景気について

  • 05年10−12月期では名目成長率のほうが実質成長率よりもかなり低かったので、デフレが続いているのではないか。
  • 量的緩和の役割が終わりつつあることは、ある程度認識が一致してきていると思う。
  • 量的緩和を解除したら資金が足りなくなって金利が上がるというのは違う論理。資金需要の強いところで資金を締めれば金利は上がるが、現在はそういう状況にない。量的緩和解除と金利上昇は直接はリンクしない。
  • 政府・日銀におかれては、景気回復基調に水を差すことのないようにしていただきたい、持続的な景気回復に向けた対策はこれからも続けていただきたい、というのが我々の立場。
  • 個人消費指数、有効求人倍率や完全失業率が改善するなど全体の景気は良くなっているが、自動車の販売まではまだ回ってこないというのが実感。お客様がクルマを買い替えようという気になる魅力的な商品を出すことが我々の責務だと思っている。

エタノール燃料について

  • エタノールは主に植物性のアルコールであり、CO2削減の有効な手段のひとつと思う。日本の自動車各社も技術的な準備・検討を続けている。
  • 日本では3%までエタノールを入れられる準備が整っているが、これをもっと増やすにはある程度時間をとって技術対策をすれば可能。ただ、森の木を切ってトウモロコシを植えるのが良いのかという話もあり、よく考えていかなければならない。
  • アメリカでは補助金を出して推奨していくということから、まだガソリンより高くなる可能性があるのだと思う。

輸出ビジネスについて

  • ヤマハ発動機の件は捜査中であり、報道の範囲でしかわからない。結果が出ないとコメントする立場にない。
  • 一般論としては、自動車はある意味では軍事転用できる可能性のある分野もあるので、各社とも大変慎重な姿勢で臨んでいると思う。
  • どういうものを届けなければいけないかの明解な規約があり、各社とも社内で確認するプロセスは確立できていると思う。

原材料確保に向けた取り組みについて

  • 自工会として原材料確保に向けた取り組みはしていない。
  • 各社は原材料がないとモノができないので、それぞれ作戦を立てて取り組んでいる。