|
会長会見 2005年12月15日
(小枝会長)
今年を振り返って
- 環境関連では、1月からスタートした自動車リサイクルシステムに協力し、また4月に政府が策定した京都議定書目標達成計画へも貢献してきた。
- 海外関連では、マレーシアおよびタイとのEPA合意に協力してきた。マレーシアとは先日署名に至り、我々もビジネスチャンスと捉えているだけではなく、マレーシアの自動車産業の発展のために人の育成等に協力していきたいと思っている。
- 東京モーターショーでは目標の150万人を達成し、愛・地球博に出展した「ワンダーホイール展・覧・車」も大きな事故もなく終了できた。
来年について
- 製造業の原点に立ち返り、社会的な要請やお客様のニーズに応えつつ、高品質で魅力ある商品を提供するために、環境や安全について対応していきたい。
- クルマには、ただの移動手段ではなく快適で楽しいという要素も大事なので、これにも取り組んでいく。
- 日本で生産して販売しているからこそ、世界で通用する技術や競争力があるので、こういった産業の特性に鑑みてグローバルな対応を強化していきたい。
自動車関係諸税について
- 道路特定財源については、JAFと自動車税制改革フォーラムは、署名活動や緊急記者会見、街頭活動等を行なってきた。約1カ月で240万人超のユーザーの皆様から一般財源化反対の署名をいただいた。
- 一般財源化の方向という大きな流れになっているが、詳細はこれからの議論であるので、ぜひユーザーの声を活かしていただきたい。
- 従来のグリーン税制やトラックの排出ガス対応を促進するような税制の維持については、段々ハードルが高くなるが、維持していければよいと思う。
国内自動車市場について
- 各社はかなりの勢いで新車を出しているが、全需はほぼ横ばい。昔は新車を出すと1年位はずっと売れたが、今は新車効果が短くなった。
- 各社は販売チャネルをたくさん持っているし、販売会社もたくさんの店舗を持っている。その辺りを少し合理化していくことは必要。
- 景気は指数的にはだいぶ良くなっており、ボーナスも前よりは増えて出ると思うので期待しているところ。
- 昔は性能が上がったとか機能的な部分のアピールだけで良かったが、今は感性でアピールする部分がないとクルマを買い替えてもらえない。自動車メーカーとしては販売会社と協力して魅力ある商品を出していくことが唯一の手段だと思う。
- 軽自動車は予測では今年は過去最高の販売台数になりそう。地方では公共交通機関が少なくなって使えなくなってきた。クルマを運転できる人は全員クルマを持てる時代なので、2台目だったら軽をということもあるし、軽の性能も上がっているので、軽が増えているのだと思う。
- 日本車といわゆる外車の価格のギャップが一番大きいのは日本。価格が高くてもお客様は買っており、ソフトを含めたサービスで我々が努力する余地はある。高級車市場は将来の市場として注目している。
国内生産と海外生産について
- 国内生産は今年も1千万台を超えると思う。海外生産も1千万台に近づきつつあり、今の勢いだとここ数年のうちに海外生産が国内生産を上回ることもあるのではないか。
春闘について
- 春闘は各労組と各経営側がそれぞれ交渉することであり、自工会会長としてはコメントする立場にない。
- 一般論で言えば、日本の自動車産業の強みは日本で自動車を作って日本のお客様に応えているということ。自動車は部品を集めて組み立てれば出来上がりというものではなく、細かい改善や改良が競争力の元になっている。それを維持するためには、賃金があまり低いと働く人のモチベーション向上に繋がらないが、国際社会の中での日本の賃金ということも考えていかなければならない。
- 経営者なら原資があれば働く人の貢献に報いたいと誰でも思うが、それぞれの成果や能力にウェイトを置いた賃金体系が多くなってきており、一律に底上げをするベアが馴染むかどうかは議論のあるところ。
- 自動車産業では、ここ数年多くの会社において、成果報酬としてボーナスを増やすなどして年間トータルの賃金を実質的に上げてきている。今年景気が回復したから従業員に報いる、という意識は私個人にはない。
- 技能・技術の伝承や労働力の確保には、団塊の世代が退職の年代になっても何らかの形で労働に参加できる仕組みを作ることや、女性の戦力化など、フレキシブルな雇用関係に取り組むことが必要。
EPAについて
- 基本合意の後の条文の整理にはものすごく時間がかかるので、(タイおよびフィリピンと基本合意しながら発効の目処が立っていないことについては)そんなに遅れているという認識はない。
米国自動車市場について
- 米国経済は3.5%位の成長であるし、来年も懸念材料があるものの大方3%台の成長ということで、日本に比べて成長率がかなり高い。
- 販売は大体今年と同じか少し増える位になるのではないか。
|