JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2005年11月24日

(小枝会長)

道路特定財源の一般財源化反対について

  • 先ほど道路特定財源に関する街頭活動をやったが、今いろいろなところで署名活動をしている。東京モーターショーの会場でも数万の署名が集まったし、各販売会社の協力も得て署名活動をしているところ。
  • 道路特定財源は、受益と負担の関係で、道路を作るから暫定税率も含めてユーザーの皆様に負担していただいているものであり、道路を作らないで余ったのであれば、一般財源に回さないで暫定税率を下げてくださいというのが我々の主張である。
  • 自動車業界をあげて特定財源の一般財源化に反対しているわけではない。特定財源を一般財源化して財政の効率化が図れるなら、それには賛成する。我々は、道路が足りないので暫定税率を負担してくださいと言っていたのを、もう道路にお金を使わないから一般財源化するというのは趣旨が違う、その前に暫定税率を元に戻してください、ということを申し上げている。
  • 12月2日にはJAFおよび自動車税制改革フォーラム主催で決起大会を行う。
  • 我々としては目標としている100万人を超える賛同を得られると期待しており、これを総理官邸や自民党にお届けしたいと思っている。
  • 自動車業界として、このような署名活動は相当昔にもあったと思う。そのときもJAFと連携した形だった。会長・副会長クラスが参加しての街頭活動というのは前例がないと思う。(中山広報室長)
  • (主張を貫くのか、妥協点や落し所を探るのかについては)妥協するとかこのまま頑張るとかという話ではない。正しい内容をJAFを中心に自動車関係団体が一致してPRしていこうということ。

自動車産業の現状について

  • 各社の上期の決算が出揃ったが、総じて言えば経営状態は堅調と言えるのではないか。また、売上げが伸びるときには先行投資をするので普通は利益率が落ちるが、自動車産業が利益率を確保したまま売上げを伸ばし成長しているところを、ぜひ株価で評価していただきたい。
  • 国内販売は、05暦年見通し587万台を達成できるのではないか。輸出や米国販売についても昨年同等レベルを達成できると思う。国内生産は、国内販売・輸出とも好調なので、暦年1千万台を達成できると思っている。

東京モーターショーについて

  • 151万2,100人の来場者があり、目標の150万人をクリアした。
  • 週末を2回から3回に増やしたことで、週末・祝日の混雑緩和につながった。
  • 環境や安全に関する自動車業界の情報発信の場という目標も成果を上げることが出来た。

円安について

  • 円安は、輸出・販売については追い風になるが、あらゆる材料を輸入しているわけだから、円安により材料費が上がり、購買部門にとっては大変な逆風になる。
  • 原材料も輸入分の在庫や長期契約などいろいろな手段で為替対策をしているので、材料費が上がるまでにタイムラグがあるが、理論的に言えば、労務費以外は全部、円安はコストが上がる要因になる。
  • 為替が乱高下すると、長期の投資の判断が大変難しくなるので、為替が乱高下しないことを望む。

GMのリストラ策が日本の自動車メーカーに与える影響について

  • GMは世界の自動車産業のリーダー。数日前にリストラ策の発表があったが、ぜひ成功して立ち直っていただきたい。
  • もたれあっている訳ではないが、あれだけの大きな自動車会社が急にシェアを落とすといろいろな市場に混乱が生じる。その分、日本車が売れますよと言うほど単純なものではないし、どこか1社が消えたら全体がハッピーになるというものでもない。

国内自動車市場について

  • (バブル時のピークだった)800万台から600万台になったのは、単純に計算すれば1台当りの使用期間が延びているから。
  • 国内・海外合わせて2,000万台作っているうち、国内で売っているのは600万台で、海外では1,400万台を売っている。販売面では完全に海外市場依存の構造になっている。
  • ただ国内はホームマーケットであり、大変大事な市場なので、今後も力を入れていく。
  • 日本は世界で一番厳しい市場。材料費が上がってもなかなか価格転嫁できないし、環境・安全についても厳しい。さらに、お客様の品質に対する目が一番シビアな市場でもある。そういうところで競争していることが、世界で伸びる原点になっていると思う。

国内の景況感・デフレについて

  • 個人的には、感じより数字のほうがいいと思う。
  • 個人消費の伸びがそれほどでもない。自動車は新車合戦と言われるほど新車を出して国内販売600万台を維持しているが、今までの保有期間の経験からすると、本来ならもう少し販売が伸びてもよいはず。しかしクルマを今までの7年から8年に延ばして乗っても何の支障もないというユーザーさんの考え方もあり、それは我々の販売努力とは関わらないところにある。
  • 失業率や有効求人倍率は改善してきており、底は打って少し上向いている気はしている。
  • 強烈なデフレはなくなりつつあると思うが、土地の価格も平均では下げ止まったと言っても、下がっているところは依然として下がっている。
  • 全体的に見てデフレがこれで終了したという感じはどうかと思うが、ただまだまだ底なし沼に陥っているという感じではない。

アスベストについて

  • アスベスト関連に従事していた方、工場の隣にいて被害を受けられた方に対してどういう救済をするかについては、対象範囲をどうするかとか基金をどうするかとか、今いろんな議論をされているが、これは政府が引き続き検討していくと聞いている。自動車工業会として議論はしていないし、コメントする立場にない。
  • ただ、少なくとも自動車産業の中で働いていた人でアスベストを扱っていた方については、リストアップして健康診断を含めてきちんと管理をしている状況である。