JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2005年09月15日

(小枝会長)

衆議院選挙の結果について

  • 与党で3分の2以上の議席を占めたのは、国民の間に改革路線を後退させてはいけないという判断があったのではないか。
  • 郵政民営化を突破口として、行財政改革や景気対策、年金制度、少子化対策、外交などの課題について、小泉総理のリーダーシップの下で積極的な取り組みが進むことを期待している。
  • 小選挙区制は少しの支持の動きで大きく議席が増える制度であり、議席数と投票数とは比例しない。民意を汲んで改革を進めていただきたいが、民意というのは投票数も考えなければならないということであり、与党としても慎重な舵取りをされると思う。
  • 一方で、今までの拮抗した議席ではなかなか出来なかった改革を、ぜひスピードを上げて取り組んでいただきたい。
  • 自動車産業としては、あらゆる面での経済の自由化に大いに期待している。

米国ハリケーンの影響について

  • 日本の自動車メーカーは個々の判断で義援金寄付や自社製品の提供をしている
  • 自動車販売への影響については、ディーラーの建物や人材に被害があったがこれがどうなるかということと、ガソリン価格が一部で高騰しているが各国の備蓄放出等の対策の効果がどう出るか、といったことに注視している。
  • 米国景気がどうなるかは、米政府や州、産業の上手なマネジメントにかかっている。
  • 景気への影響が一時的なものか長期化するかは現時点ではわからないが、我々としては短期で収束し、米国景気が堅調なペースに戻ることを期待している。

東京モーターショーについて

  • 今回のショーはいろいろな意味で節目のショーとなる。ひとつはモーターショー50周年、もうひとつは07年から総合ショーに戻すので乗用車・二輪車ショーとしては最後となる。ぜひ成功させたい。

原油高の影響について

  • 原油はあらゆる製品の素となっている材料。原油価格が2倍になったら製品価格も2倍になるというわけではないが、原油高が続けば石化製品の値上げに見られるように影響が出てくる。
  • 緩やかな変動には対応できるが、急激な変動に対してはいろんな局面が出てくる。
  • 自動車の末端価格については、リーズナブルに値上げできる地域では日本のメーカーも各社の判断で価格を若干いじっているが、日本ではデフレが終結したイメージがまだ消費者にはないと思うので、値上げが出来る環境にはない。
  • 自動車業界だけでなく、あらゆる業界、材料メーカー、部品メーカーが大変努力をして吸収して頑張っているところ。

原油高とユーザーのクルマ嗜好について

  • 原油高の前からクルマの嗜好は二分化していて、軽や1〜1.5リッタークラスのクルマと、プラスアルファの価値を持った高級車に分かれている。
  • 米国でも燃費の良い大型SUVは売れており、日本でもガソリンが高くなったから大きいクルマが全く売れなくなるということは起きていない。

日タイEPAについて

  • 政府の大変なご努力もあり、100点ではないがそれに近い形で大筋合意が出来た。
  • 自動車産業にとってはWin−Winの関係が築けると思っている。

中国への進出状況等について

  • 日本の自動車産業は中国に大きな投資をしており、メインは中国市場向けである。中国市場の伸びが急であるので、日本の自動車メーカーも供給力不足の状況。
  • ただ、自動車も毎年30%〜50%伸びていた時期よりは少し緩やかな成長になってきたので、それに合わせた投資形態になっていくと思う。
  • 中国の元が切りあがった場合の最大の関心事は、中国の経済が上手く舵取りをして少しずつ通貨を強めながら今の活況を維持していけるかどうかということ。
  • 通貨がいきなり強くなるというのは大変産業に影響があるが、徐々に上がっていくことは、その国の価値が上がるということであり、悪いことではない。

国内景気について

  • 自動車販売のトレンドとしては、(昨年を)少し上回る位の状況。
  • 全体の景気指数の推移を見ると、もっと景気が良くなっていいと感じるが、明確に回復しているという感じではない。産業界全体では少しずつ堅調に戻っているところで、自信を持って走り始めたというところまでは来ていない。

省エネルギーカーについて

  • 例えばハイブリッド車は、開発費がかかるし、各構成部品も数を増やさないと安くできないこともあり、各自動車メーカーの判断でいろいろなアライアンスを組んでいるところ。

税制改正要望について

  • 自動車は二重三重に税金がかかっているので、税をシンプルにして、不合理な税制をやめていただきたいと申し上げているところ。
  • 自動車重量税は暫定税率で高くなっており、また一般財源にしてしまおうという論議もあるが、それは本来の趣旨とは違うと思うので、まずは暫定税率をなくしていただきたい。
  • かなり多くのクルマがグリーン税制の対象になっているが、走っているクルマ全体でいうとまだ4%位しかない。排出ガスがきれいでCO2も少ないクルマをもっと出すにはグリーン税制を続けるべき。