JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2005年07月25日

(小枝会長)

人民元切り上げについて

  • 中国経済の成長が高く評価されたということであり、中国経済の更なる国際化に向けた着実な一歩であるということで、我々は評価している。
  • 自動車業界に限れば、今回の切り上げ幅はそれほど大きくないので、大きな影響はないのではないか。
  • 今回の切り上げにより、中国経済がより成長し、自動車市場も活性化するよう、今後の中国政府の経済の舵取りに期待したい。
  • 短期的には、円とドルの関係や円とユーロの関係への影響、またアジアの通貨への影響が考えられる。中長期的には、中国の経済がどうなるかというほうが影響は大きい。
  • 私見だが、為替は国の全体の力で決まるものと思う。中国の輸出産業(例えば繊維産業)に非常に競争力があるからもっと大幅に切り上げないとバランスが取れないということについては、中国にはいろいろな産業やいろいろな地域があることから、少し考える必要がある。
  • 日本の自動車メーカーは中国国内の市場拡大に対応するので手一杯。成長が鈍ったと言っても10%とか5%の伸びがあり、当面中国の国内市場重視は変わらない。

アスベストについて

  • 過去20年間に自動車関連に従事していた従業員に発症があったかどうかの調査を行なったところ、3社・7名の健康被害の報告を受けた。うち4名がお亡くなりになっている。
  • 自動車部品については、ブレーキ、クラッチ、断熱材等にアスベストまたはアスベストを含有した部品を使っていたが、自主対応として、1989年にアスベストを使わないという非アスベスト化の切替計画を策定し、1996年10月までに全ての切替が完了している。
  • 先週22日の理事会の席上で、私から、改めて早急な実態調査と適切な対応をしていただきたいと各社にお願いしている。

国内市場について

  • 上半期の総販売台数は約310万台・前年比2%増で、3期連続で増えている。乗用車は新車効果が見られ、トラックも予想より高い実績だった。
  • 上期は、全体の景気がそんなに悪くないことや、各社が新車販売の努力をしていること、トラックに10月から始まる新長期規制の前倒し需要があることにより、2%の伸びがあり、下期もその傾向は続くと思う。今年の暦年の見通し587万台は是非達成したい。

国内高級車市場について

  • 日本の高級車市場はそんなに大きくない。サービス、売り方、店舗など全部変えないと無理だが、プレミアムの商売というのはひとつの重要な要素である。
  • それを今まで日本では、全部外国車、特に欧州車が占めていた。
  • アメリカでは、高級車は欧州車と日本車がほぼ同じ値段で売っており、日本でも出来ないかと考えるのは自然の理だと思う。
  • 自動車メーカーにとって高級車ブランドとは、ブランドを確立するという意味からも収益を上げるという意味からも大変重要な分野だと思っている。

新燃費基準について

  • 燃費向上は社会的使命であるし、自動車メーカーの責任も大きい。
  • 新燃費基準の検討に際しても、我々は前向きに協力をしていきたい。
  • 2003年の平均燃費はかなり良くなっている。運輸部門のCO排出量も98年から徐々に減少してきており、2002年、2003年は連続して減少した。今までの燃費向上の努力が現れてきている。