会長コメント 2009年01月01日年頭に際して日本自動車工業会
会長 青木 哲
新年明けましておめでとうございます。年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。 まず昨年を振り返りますと、原油・原材料価格の高騰に始まり、年後半には、米国の金融危機に端を発した経済の悪化が全世界に波及し、実体経済をも圧迫する未曾有の事態に陥りました。国内経済も、この影響を受け急激に円高・株安が進行するなど、危機的な状況に直面しました。 こうした経済情勢の中、昨年、四輪車の国内需要は、511万台(対前年比95.5%)と4年連続して減少し、また、二輪車は57万台(対前年比78.9%)と3年連続の減少となるなど、自動車市場も大変深刻な事態となりました。 <* 数値は見込み> 生産につきましても、通年では、新興国を中心とした自動車需要の増加や、環境性能にすぐれた日本車に対する市場ニーズの拡大などから、国内外ともに1千万台を上回ったものの、年後半の世界経済の悪化による需要の急激な落ち込みが顕著となり、大幅な減産を余儀なくされました。 本年も、世界経済の回復が見込まれない中、金融危機の長期化や世界景気の一層の下振れ、株価の下落と為替の変動リスク、消費低迷など、厳しい経営環境が続くことは避けられないと認識しております。 このような厳しい経済情勢を踏まえ、本年の国内需要見通しは、四輪車を486万台、二輪車を50万台といたしました。 日本の自動車産業は、いままでに経験したことのない急激な経済環境の変化に直面しており、企業の存続をかけて緊急かつ大幅に方向性を見直す厳しい試練の時を迎えています。 取り組むべき課題は多岐にわたりますが、このような状況下においてこそ、継続的かつ重点的な取り組みが重要であると再認識し、本年も以下3点を事業の柱として、業界を取り巻く環境変化を的確に捉えた取り組みを積極的に展開してまいります。
<安全と環境への取り組み> 環境につきましては、とりわけ、地球温暖化防止への取り組みを最重要課題と捉えて、会を挙げて推進してまいります。 京都議定書の目標達成に向けたCO2削減への取り組みに加え、中・長期的な観点に立って、低炭素社会の実現を目指し、低燃費技術や次世代自動車の開発、交通流円滑化のための道路施策への調査・提言、エコドライブの推進など道路交通分野におけるCO2排出量削減に向けた取り組みを継続してまいります。 生産工場におけるCO2排出量の低減につきましては、2008年度より当会と(社)日本自動車車体工業会の取り組みを統合した自主行動計画を策定し、削減に取り組んでおります。また、政府による「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」へも、自主行動計画へ参加している当会全会員14社と車体工業会会員44社が一体となって自動車生産温暖化対策推進協議会を設立し、参加の申請を行ないました。
<国際的な相互理解と協力の促進> こうした観点から、WTOのドーハラウンドが成功裏に終結するとともに、二国間あるいは地域間の経済連携協定が更に促進されることを期待しております。 これらをはじめとする諸課題に対し、関係各国の政府・業界との緊密な関係を通じ、日本政府の活動を積極的に支援してまいります。
<クルマの夢・楽しさの訴求と快適な利用環境への取り組み> モーターショーの休催年であった昨年、初の試みとして開催した「Tokyo Motor Week 2008」では、若者を中心とする多くの方々が、最新のクルマに触れ、楽しんでいただいている姿を通して、クルマへの潜在的な興味や関心は決して低くないことを実感いたしました。
今年は東京モーターショーの開催の年にあたりますが、現在、これからの時代にふさわしいショーの役割や、そのあり方について、世界の自動車産業を取り巻く環境を踏まえつつ、検討を進めています。 お客様がより快適にクルマ・バイクをご利用いただくための環境整備も重要と考えております。 昨年末の税制改正において、低炭素車に対する自動車重量税・自動車取得税の減免措置が認められました。 また、ITS(高度道路交通システム)社会の早期実現に向けた活動、道路交通環境の整備、都市部における二輪車駐車場の整備の推進や高齢社会における安心・安全な道路交通環境作りに向けた要望・提言、福祉車両の開発・普及等にも一層注力してまいります。 最後になりますが、本年も、会員各社の協力の下、「豊かなクルマ社会の実現」を目指して幅広い事業活動を展開してまいります。この厳しい経済情勢を乗り切り、日本の基幹産業として経済・社会への貢献を果たしていく所存でございます。 今後とも、皆様方の一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
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