JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長コメント  2007年01月01日

年頭に際して

日本自動車工業会
会長 張 富士夫

新年明けましておめでとうございます。年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

昨年を振り返りますと、原油価格高騰などの影響があったものの、雇用・所得環境の改善や好調な企業収益等に支えられ、設備投資等が底堅く推移し、戦後最長と言われたいざなぎ景気を更新するなど、日本経済の緩やかな成長が持続しました。

こうした中で、昨年の国内自動車生産は、好調な海外需要に支えられ、5年連続で1千万台を上回ることができました。しかし、国内需要につきましては、四輪車が574万台(対前年比98.1%)と2年連続して減少し、また、二輪車は74万台(対前年比99.7%)と2年ぶりに前年を下回る結果となりました。

本年を展望いたしますと、企業の旺盛な設備投資や雇用・所得環境の改善が続くものと見込まれ、また、米国やアジアを中心とする世界経済の安定的成長も予想されることから、日本経済はプラス成長が持続するものと思われます。

このような状況の中で、本年の四輪車需要は563万台、二輪車需要につきましては、72万台を見込んでおります。

自動車産業は、日本経済の維持・発展のために、今後も、我が国の基幹産業としての役割を果たすことが期待されております。
そのためには、今日の経済社会において自動車産業に求められている社会的要請についての認識を高めるとともに、常にお客様本位に立って、自工会活動を展開する必要があると考えております。また、一人でも多くの方に“クルマファン”になっていただけるよう、クルマが持っている様々な魅力を今まで以上に提供していく努力を重ねていくべきであると思っております。
 
具体的に取り組むべき課題は多岐にわたりますが、「安全と環境への取り組み」、「自動車産業のグローバル化への対応」、「より快適で楽しいクルマの利用環境への取り組み」の3点を 事業の柱として、引き続き、積極的に推進してまいります。

第一に、「安全と環境の取り組み」を強化・加速することが重要であると考えます。
交通安全の問題につきましては、我が国の交通事故死者数は6年連続減少し、6千人台と半世紀前の水準まで減少したものの、交通事故発生件数や負傷者数は、依然として高いレベルにあり、更に昨年来、飲酒運転が大きな社会問題となるなど、交通事故を巡る情勢は大変厳しい状況にあります。当会としては、政府が掲げる「世界一安全な道路交通」の実現に向け、車両の安全装備の一層の充実や交通安全キャンペーンの展開など、ハード・ソフトの両面にわたって最大限の努力を果たす所存です。

また、環境問題につきましては、京都議定書目標達成計画の推進や大気環境の改善に向け、環境への配慮を最優先にした自動車の普及とともに、交通流円滑化のための調査・提言活動、エコドライブ実践の啓発などの取り組みを加速させてまいります。なお、自動車リサイクルにつきましては、すでに90%を超えるリサイクル率を達成するなど、会員各社とも積極的に対応しているところであり、今後とも循環型社会の構築に向けて、貢献してまいります。

第二に、「自動車産業のグローバル化への対応」についてであります。
世界各国でビジネスを展開する当業界にとって、貿易や投資に関するビジネス環境の整備は極めて重要であります。当会としても、WTOの多国間協定や経済連携協定の推進を大いに歓迎するとともに、相手方政府や業界へ働きかけを行うなど、政府の活動を支援してまいります。
また、本年10月には、各々第5回目を迎える乗用車及び商用車グローバルミーティングの開催が予定されています。欧米の自動車業界首脳との対話を通じて、燃料品質や排出ガス等の環境への対応、知的財産権の保護など、各国に共通した課題に対する認識を共有化するとともに、協力した取り組みを進めてまいります。

第三に、「より快適で楽しいクルマの利用環境への取り組み」であります。
お客様に快適なカーライフを過ごしていただくために、道路整備や自動車税制のあり方について、引き続き、提言してまいります。特に、自動車関係諸税からなる道路特定財源の一般財源化問題につきましては、昨年来、日本自動車連盟や自動車税制改革フォーラム並びに石油業界とともに、一体的な活動をしてまいりました。その結果、1,033万人の方々から一般財源化反対の署名を頂戴しております。昨年末、政府において、「道路特定財源の見直しに関する具体策」が取りまとめられましたが、その中で、現行の税率水準の維持及び一部「一般財源化」が決定されましたことは、納税者の理解が到底得られるものではないと考えますので、  当会としては、今後とも納税者であるお客様の声を粘り強く政府に訴えてまいります。
さらに、お客様の利便性・安全性向上の観点から、ITS社会の早期実現、都市部における駐車場整備の推進、福祉車両の開発・普及等に前向きに取り組んでまいります。

また、今秋開催されます「第40回東京モーターショー」は、10年ぶりに商用車を含む全てのカテゴリーを対象とする総合ショーに生まれ変わります。クルマの持つ夢や楽しさ、素晴らしさを訴求するために、従来からのお客様参加・体験型のコンセプトを継続するとともに、多様な特別企画を展開してまいりますので、是非多くの方々に会場まで足を運んでいただければと願っております。

最後になりますが、自動車産業へのご理解を深めていただくために、引き続き、会員各社の協力のもと、「対話と共感」をキーワードに事業活動を推進していく所存でございますので、今後とも関係各位の一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

以 上