JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2005年11月02日

米国、日本、欧州の大型車およびエンジンメーカーは、排出ガスおよび安全基準の調和を達成する努力を継続することに合意。(仮訳)

イリノイ州シカゴ(米国)、2005年11月1日。 米国、日本、欧州の大型車およびエンジンの世界的メーカー首脳が会議を開き、業界が直面している課題について協議した。

International Truck and Engine社CEOのDaniel C. Ustian氏を議長とする第3回商用車グローバルミーティングは、2003年アムステルダム会議、2004年東京会議に続いて開催。本日の会議の焦点は、既に達成された世界の大型車の排出ガス低減における実質的な進歩を、今後10年間も継続し、商用車の安全性向上のさらなる機会を探るために必要な方策および措置を明らかにすることであった。

本日の会議で各首脳は、環境性能、安全性および道路輸送効率の向上の重要性を強調し、既に画期的な進歩を遂げてはいるものの、業界、政府、車両ユーザー間の協力が進展し続ける鍵となるということに合意した。

参加者は、過去20年間に既に達成した商用車の排出ガス低減と安全性の画期的な向上について、国民と政府当局者にさらに知らせていく必要性があることに合意した。また、将来にわたる排出ガス低減、エネルギー効率の向上、より安全な車両の追求のための基準とテスト手順の国際調和が、コスト効率の良い新技術の迅速な導入・展開を推進するための手段として重要であることを確認した。

本日の会議の結果、車両およびエンジンメーカーは、政府の基準の調和の推進に協力を惜しまないことを再確認した。

排出ガス規制は世界の各地域でますます厳しくなっている。しかし、基準とテスト方法は地域毎に違っている。その結果、商用車メーカーは各地域毎に異なる開発と認証テストを行わなければならない。これには多額の出費が伴い、これは最終的には消費者と国民が負担することになる。商用車は国際的な製品である。したがって、参加者は排出ガス認証テスト(2006年の見込み)、オンボード診断(2006年の見込み)、およびオフサイクル排出ガス(2007年の見込み)に関する基準を世界技術規則(GTR)として合意が成立次第採択するように各国政府に働きかけ、それによって環境、消費者、および大型車メーカーに利益をもたらす。

NOxおよび粒子状物質のますます厳しくなる大型車排出ガス規制に適合するために、日本でも欧州でも後処理システムが導入されている。順調に実行に移すためには多くの難題があったが、製品はスケジュールどおり導入されている。これら基準を満たすための技術の選択は、懸念される燃費とのバランスをとる必要によって大きく影響されることになる。SCRによるNOx後処理は、低排出ガスと組み合わせて燃費を改善する可能性を示した。ただし、SCRシステムの世界的規模での実用化が可能とみなされるには、尿素流通インフラの必要性、不法改造防止、尿素凍結、および顧客の受け入れに関する懸念を検証しなければならない。欧州には現在800ヶ所の尿素補給所があるが、今年末までに合計2,000ヶ所に達する見込みである。日本では既に1、300ヶ所に尿素補給所の整備が完了している。欧州と日本では、尿素がない場合には、または品質が不適正な場合には、不法改造の懸念に取り組んできた。凍結には、ラインヒーターとタンクヒーターの両方を使って対処した。顧客の受け入れは、このシステムが新しく、その結果、よく知られていないために、まだ問題である。主要問題点に対する取り組みは進んでおり、業界の多数メンバーがこの技術の使用を支持している。

排出ガス要件がますます厳しくなっているので、市販燃料品質は新しい車両排出ガス技術の導入に極めて重要になる。ただし、世界のほとんどの地域で、燃料規格の変更の原動力になるのは経済と物流の改善であって、エンジン技術ではない。この密接な関係は先進世界では認識されていますが、開発途上国や中進国では一般的にそうではない。これらの事実は、車両規則の世界的調和に向けて進められている努力と並行して、「世界的燃料規則」が必要であることを浮かび上がらせる。参加者は、国連内でこの問題を優先すべきことおよび将来の燃料規則に硫黄規制値を含めるべきことについて合意した。また、ISO TC28作業プログラムに、その作業の基礎として世界燃料憲章を使って自動車ディーゼル燃料基準を導入することを支持した。

安全性の分野においては、大型トラックの安全性能を向上させる設計とシステムを取り入れるために、世界中のトラック製造業界において既に始まっている努力を拡大・継続していくことを確認した。しかしながら、業界だけの努力で将来の成功は保証できないことが強調された。運転者の訓練の改善、免許・交通法の運用プログラム、道路設計と保守点検の向上、および運行の安全性を維持するためのトラック運転者と自動車運転者の努力の継続、これらすべてが必要となるからである。それにもかかわらず、衝突保護と衝突防止の分野においてさらなる進歩の可能性があること、そして、これらの活動を世界調和の流れの中で追求していくことに参加者の合意が得られた。

エンジン製造者協会(EMA)、トラック製造者協会(TMA)、日本自動車工業会(JAMA)、および欧州自動車製造者協会(ACEA)のメンバーとスタッフも、会議に参加した。

ACEA代表より、欧州での2007年会議開催への招聘があった。