JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2005年01月12日

世界レベルの問題に取り組む世界の大手自動車メーカーの首脳

プレスリリース仮訳

ミシガン州デトロイト発−世界の大手自動車メーカーの首脳は、本日、デトロイトで会議を開き、よりクリーンで安全な低燃費車を世界中で生産するためには、自動車産業にとって何を重視すべきなのか、について議論した。同時に、知財、および安全基準の調和について討議を行った。

この話し合いには、米国自動車工業会(AAM)、欧州自動車工業会(ACEA)、日本自動車工業会(JAMA)の代表も参加した。自動車業界の首脳が世界レベルの問題について話し合う「グローバルミーティング」は、北米国際自動車ショーに合わせて開催されたもので、今回が3回目。第1回は2002年のパリモーターショーの際に、第2回は2003年10月の東京モーターショーの際に、それぞれ開催されている。

本日の会議では、GMのリチャード・ワゴナー会長兼CEOの議長の下で、第1回会議から進捗状況、ならびに、将来自動車業界が注視してゆくべき重要な問題について、世界の自動車メーカーの首脳による討議がなされた。会議出席者は、安全、環境、知的財産という重要問題で進展を図るためには、政府、消費者、他の利害関係者と建設的なパートナー関係をつくりあげていく過程で、自動車メーカーが、よりクリーンで安全な車を、引き続き世界中に供給していく必要がある、ことを確認した。なお、世界自動車産業のCEOが話し合った各議題については、以下の通り。

知的財産

世界自動車産業の健全な成長と持続的な活力の確保、ひいては各国の経済発展のためには、先進国と開発途上国の双方において、知的財産を尊重することが重要である。知的財産の尊重は、権利者の利益を守るのみならず、産業発展のために創造意欲を刺激するものであり、また、消費者の利益を守るものでもある。オリジナル製品の品質や性能に劣る模倣の補修部品や二輪車、自動車の流通は、消費者の安全と環境の保護を脅かすものである。また、知的財産の尊重は、途上国の発展に必要な先進技術の移転と直接投資を促すことになる。最近の知的財産の侵害行為はとうてい無視できない規模になってきている。自動車メーカーは、各国政府との協力のもと、あらゆる国が知財法を制定・施行すべきこと、模造品の拡大には毅然とした態度で対応して行くことに合意した。

先進技術と燃料品質の改善

自動車メーカーは、電気ハイブリッド車、クリーン・ディーゼル車、水素エンジン車、燃料電池車など、クリーンで燃費の良い先進技術自動車を生産するために、様々な努力を行なっている。購入を容易にする消費者インセンテイブを導入すれば、これら先進技術車の販売を刺激することができるが、かかるインセンテイブは技術的に中立の立場から供与される必要がある。消費者と市場とが自らにとって意味ある技術を選ぶべきであり、政府が勝者と敗者を決めるべきではないからである。また、先進技術自動車を支援するには、市場インセンテイブに加え、インフラ整備の面で多くのことがなされる必要がある。

現在のウルトラ・クリーン(UC)車は、品質の一定したクリーンな燃料を必要としている。このため、自動車業界が必要とする燃料品質を理解するためのガイドラインとして「世界燃料憲章(WWFC)」が定められており、この憲章が燃料品質の調和に向けたロードマップとなっている。自動車メーカーは、世界中のガソリンからの鉛の除去を強く支持する。ガソリンおよびディーゼル燃料の双方の硫黄含有量を10ppm以下に抑制すれば、さらに燃費を向上させる技術を実用化することができる。

持続可能なモビリティとグローバル ロード セーフティ

持続可能なモビリティとは、経済面、環境面、社会面で定められた目標を達成しながら、手軽に利用できる安全な形態でヒトとモノとを移動させることである。このような共通の目的に向けさらに前進していくためには、自動車メーカー、行政当局とその他のステークホルダーを含めた、調整のとれた努力が必要である。

自動車の安全性は、世界の自動車メーカーにとって極めて重要な問題であり、自動車メーカーは、個々に、あるいは、互いに協力して、安全性の向上を追及している。自動車の安全性は、規制、消費者に対する啓発活動、自動車メーカーの自主的なイニシアティブが一体となって、著しく改善している。今後は、市場の需要に対応する形で、自動車の安全性が急速に進歩すると予想される。とはいえ、交通安全に関する問題は、引き続き取り組みが必要な課題である。交通安全は極めて重要な課題であり、この取り組みで成功をおさめるには、全ての利害関係者の関与が必要であると考える。世界保健機関(WHO)やグローバル・ロードセーフティー・パートナーシップ(GRSP)をはじめ、安全な道路の設計・建築に責任を有する人々、安全法規の策定と施行に責任を有する政府、救急活動関係者、そして、運転を行なうユーザーなどの重要な利害関係者と、パートナーシップを結ぶ機会が訪れている。

また、会合では、以下のトピックに関する報告がなされた。

クリーン・ディーゼル技術の進歩

技術の進歩によりクリーン・ディーゼル車が出現している。クリーン・ディーゼルは、消費者の求める車の性能や耐久性を提供しながら、よりよい燃費効率を実現する。自動車業界は、石油業界と協力して高品質のクリーン・ディーゼル燃料の販路拡大に努めるとともに、クリーン・ディーゼル車には多くの利点があることを消費者に引き続きPRしていく必要がある。

基準調和

国連の58協定、および98協定の下、世界レベルで自動車の技術基準を調和すれば、自動車の安全性が高まり、環境が改善され、消費者の負担が軽減されることになる。これらはすべて、持続可能なモビリティーの重要な要素である。2004年には、ドア・ロック、およびヒンジの強度に関し、新たな、世界統一基準(GTR)が確定されるという重要な成果が示された。この基準は、既に58協定の下で100以上の自動車の基準を策定してきた「自動車基準調和世界フォーラム」(国連傘下の技術作業部会)により実現された、最初の世界統一基準(GTR)である。この成功は、世界レベルのチャレンジも克服が可能であり、世界の自動車ドライバーに向けてより優れた安全ガイドラインを策定することができるということを示すものである。次のステップは、歩行者保護について、国連のグローバル協定下のGTRを策定することである。自動車業界は、政府と協力し、安全性が強く問われる分野で、かかる取り組みをどのような順番で行なうのか決めていきたいと考えている。

次回の会議
ピシェツリーダー会長(VW)より、ACEAを代表して、第4回会議を2006年3月に欧州で開催したいとの提案があった。また、次回の会合をサポートするため、WGを設置することとした。

連絡先:
ALLIANCE Gloria Bergquist +1 202 326 5596
ACEA Alfredo Filippone +32 2 732 55 50
JAMA Takehisa Yamakawa +81 3 5405 6126