JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2003年10月17日

大型商用車グローバルミーティング(仮 訳)

世界の大型商用車メーカーはグローバルイシューに取り組む

2003年10月16日、アムステルダム発

米国、欧州、日本の大手大型商用車メーカーおよびエンジン・メーカーの首脳は本日、共通の関心である公共政策について話し合うため、各国/地域の工業会代表者とともにアムステルダムで会議を開催した。この会議は、世界の商用車/エンジン・メーカーの首脳が参加する初めての会議として、レイフ・オスティング(Leif Ostling)スカニアCEO兼欧州自工会(ACEA)商用車委員会委員長を議長とし、第1回会合として14名の首脳の参加を得るとともに、欧州自工会(ACEA)、日本自工会(JAMA)、米国トラック製造業者協会(TMA)とエンジン製造業者協会(EMA)スタッフの支援により開催された。

商用車産業は、道路輸送の効率性、安全性、環境保護性、公共および民間のモビリティを高める取り組みを行っているが、かかる貢献に対し、各国政府、トラック/バス・メーカー、ユーザー等が更に協力し取り組むならば、社会と企業双方が利益を享受することができるということを会議参加者全員が合意した。
会議参加者全員は、生産性、モビリティ、安全性、環境保護性の改善について、できるかぎり共通の取り組みを行い、調和させることが、各国政府の政策となるべきである、と強調した。

この第1回会合では主に、世界各地域において2004-2010年に実施される世界レベルの大型車両の排ガス低減努力について話し合われた。

結論

米国、欧州、日本のグローバルな大手大型商用車メーカーおよびエンジン・メーカーの首脳は歴史的な第1回会議において、力強い商用車産業がクリーンな環境および持続可能な経済という共通目標を達成する上で、各企業および政府間の協力が最も効果的な方法であるということで合意した。 更に、下記について表明された。

  • 排ガス規制値の将来の削減は、試験法の国際調和により行われるべきである。
  • 排ガス規制値の削減は、必要な燃料品質の評価と結びつけるべきである。
  • 世界燃料憲章(Worldwide Fuel Charter)は、この評価のベースになるべきである。

第2回大型商用車グローバルミーティングを2004年開催東京モーターショー開催時に開催するという案内があった。

世界レベルの大型商用車排ガス規制の調和

排ガス低減のコストおよび方法は、世界の大型トラック産業および同エンジン産業にとって、重要な問題である。このため、国際調和を前進させる必要がある。

規制値を見る限り、各国は独自に規制強化に動いている。これは、規制強化が環境にどうような影響を与えるか、共通したグローバルな見解を確立する必要がある。その対応として、排ガス基準の調和を進める必要があり、それにより、開発と生産のコストが引き下げられるであろう。

全ての参加者は、基準調和に向けた国際的な取り組みを強化するために、企業間での意見・情報の交換を促進することで合意した。

後処理技術

新たな要件を満たす一連の技術対策(SCRシステム、ディーゼル・パーティキュレート・フィルター、NOxアブソーバー)が存在している。世界各地における現地の市場状況、適用時期、要件の内容に従い、これらの対策の1つあるいは複数が利用できる見込みである。

欧州では、2005年排ガス規制(Euro IV)により、NOxとPMの排出ガスが30%及び80%とそれぞれ削減される。更に2008年には、Noxは40%削減される予定である。欧州大型商用車メーカーは、規制要件を満たすために、選択的触媒還元(Selective Catalytic Reduction: SCR)技術を選択し、反応剤としてAdBlue(DIN 70070規格を満たす32.5%の尿素水溶液)を用いている。このSCR技術は、排ガスの低減という目標と低燃費とをうまく両立させることができる。フィールド・テストと長距離耐久走行により、この排ガス後処理技術はEuro Vを満たす上で効果的であり信頼がおけることが確認されている。

米国では、規制の目的にPMの放出制限とNOxの低減が含まれている。このため、パーティキュレート・トラップを装備した米国の車両は、2007年より実用化される予定である。規制の実施までにはまだ時間があり、又米国ではトラックが実に多様な用途に使われることから、米国のトラック・メーカーはなおも、燃焼効率の向上、排ガスの再循環、NOxアブソーバー、SCRなど、NOx排ガス処理のための全てのオプションについて、実用化の研究を行っている。

日本では、規制の目的が米国と同じであるが、パーティキュレート・トラップを装備した車両は2003年より実用化される予定である。

ディーゼル燃料の品質

超低硫黄燃料が日本、EU、米国で入手できるようになれば、これらの国/地域で先進的排ガス低減技術を利用できるようになる。他の地域でもこの新しい燃料が利用できるようになれば、その地域で先進的排ガス低減技術を利用する弾みとなろう。超低硫黄ディーゼル燃料(ULSD)を現在走行している車両に使っても、著しい排ガス浄化が可能となる。

共通の燃料と共通の排ガス制御技術が利用できるようになれば、世界レベルでの排ガス基準の調和が容易となり、ディーゼル車からのNOxとPMの排出はほとんどゼロに近づき、人体の健康に利することになる。「世界燃料憲章(Worldwide Fuel Chapter:WWFC)」に示された低硫黄ディーゼル燃料が世界レベルで採用されれば、先進的排ガス低減技術が活用できるようになり、世界的な規模でNOxとPMの排出レベルがこれまでになく低下することになる。

ULSDを使用する先進技術後処理システムが装備された新世代ディーゼル・エンジンからの排ガスは、大幅に低下し、これまでのディーゼル排ガスと比べて異なる特徴を見せるものとなろう。このような先進的ディーゼル・エンジン・システムからどのような改善が行われるのか詳細にまとめ、どのような健康への影響があるのか明らかにするには、新たな研究が必要である。

お問い合わせ先:
ACEA: Alfredo Filippone, Director Communications, 電話: +322.738 7359
EMA: Kevin Kokrda, Executive Vice President, 電話: +1 312 827 8732
JAMA: Toshihiro Iwatake, 電話: +81 3 5219 6660
TMA: Robert Clarke, President, 電話 +1 202 638 7825

以上