JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2017年05月22日

平成29年度事業計画

自動車産業は、広範な関連産業を持ち、我が国の経済好循環や雇用創出に大きく貢献する基幹産業であり、日本経済の更なる成長と未来社会の創造に向けて、果たすべき役割は非常に大きい。
自動車産業が将来に向けて健全に発展し、今後もわが国の経済に貢献していくためには、研究開発・製造拠点など、ものづくり基盤を国内に維持していくことが望ましい。そのために「安全・快適で持続可能なモビリティ社会の創造」、「国内市場の活性化」、「事業環境の改善」の3点を事業の柱とし、以下の事業を中心に積極的に展開する。

<安全・快適で持続可能なモビリティ社会の創造>
自動運転の推進

  • より安全・快適で持続可能なモビリティ社会の実現と、国際競争力の維持・向上に資する自動運転技術の導入・普及に対し、社会的なコンセンサスを得ながら積極的に推進していく。
  • 我が国において少子高齢化、地方の過疎化が進む中、自動運転は、自由な移動や高効率な物流といった社会的な課題を解消する有力な手段としても期待されている。
    より高度な自動運転の実現に向けては、現時点とは大きく異なる社会システムが必要になる。今後、道路インフラ、使われ方を含め、ハード・ソフト両面において、高度自動運転を可能とする法的整備や交通環境整備が不可欠であり、自動車業界としても産官学の取組みに協力していく。

より安全な交通社会の実現

  • より安全な自動車を世に送り出していくことは、自動車業界の大きな使命である。クルマ、バイク、歩行者、自転車など「道」を使うすべての交通参加者にとっての安全・快適な交通社会の実現を目指し、自動運転技術をはじめとする先進安全技術の普及や交通安全啓発への取組みや、道路環境改善に向けた提言活動を積極的に推進していく。 

次世代自動車の普及

  • 環境対策も自動車業界が取り組むべき重要課題である。昨年11月に地球温暖化対策の新たな国際的枠組みである「パリ協定」が発効した。自動車業界としても、日本政府が掲げる温室効果ガス排出量削減目標の達成に向け取り組んでいく。
  • 特に次世代自動車の開発・普及の推進は、国際的に自動車の電動化が進む中、日本が有する環境技術の優位性を今後も維持・発展させ、環境に配慮した持続可能なモビリティ社会の実現のために大変重要である。
  • また、政府に対し、充電・水素インフラの整備など車両普及のための支援を求めていく。

<国内市場の活性化>
東京モーターショー

  • 東京モーターショーのグローバルな地位向上を目指し、2019年のショーを2020年の東京オリンピック・パラリンピックに繋げていくためにも、本年のショーは重要な位置づけであり、2020年を予感させるものとする。
  • またクルマ低関心層へ強くアピールする場とし、クルマ・バイクファンの増加、国内市場活性化を図る。

東京オリンピック・パラリンピックへの業界対応

  • 東京オリンピック・パラリンピックは、世界の注目が東京に集まる中で、日本の技術力を大いにアピールし、世界で最も安全、快適、便利で、さらには環境に配慮した「世界一のモビリティ社会」を示す好機である。
  • 日本の自動車産業がどのようなモビリティ社会を示せるのか検討していく。

自動車関係諸税の簡素化・負担軽減

  • 国内市場を活性化するためには、お客様が自動車を購入・保有しやすい環境の整備、購入・保有にかかる税負担の軽減が不可欠である。本年度は自動車税制抜本見直し(負担軽減・税体系簡素化・インセンティブ再構築)を具現化させるためのスタートの年と位置付け、関係各所と連携して活動していく。

<事業環境の改善>
国際基準調和、国際標準化の推進

  • 自動車産業のグローバル化が進展する中、基準の国際調和及び認証の相互承認は、設計仕様の統一や部品の共通化を通じて、開発・認証・生産コスト低減、手続きの効率化が期待される。このため、新興国などへの国際基準認証調和活動を推進していく。
  • また、昨今の国際競争の激化に伴い、自動車の国際標準の分野においても日本がリードしていく必要があり、経営視点で協調可能な領域を見出し、標準化戦略を推進していく。

EPA/FTAの推進

  • グローバルに活動する日本の自動車産業にとって、自由貿易の推進、経済連携協定を通じた自由で公正なビジネス環境の整備が不可欠となる。業界にとって意義のある各国・各地域とのEPA/FTA(自由貿易協定)の発効に向けて引き続き政府に協力していく。

適正取引の推進

  • 自動車業界として「適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」を実践し、適正取引の推進に継続的に取り組むことにより、サプライチェーン 全体への経済効果の波及を図り、基幹産業として日本経済の発展に一層協力していく。

以 上