JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2017年04月10日

2016年度小型・軽トラック市場調査の概要

1.調査実施概要

 

ユーザー調査

事業所調査

調査地域

全国 東京周辺50キロ圏および大阪市・
名古屋市各30キロ圏

調査対象

小型・軽トラック保有ユーザー 従業員数5人以上の事業所

調査方法

訪問留置調査法 訪問留置調査法

有効回収数

1,277サンプル 757サンプル

調査実施期間

2016年8月10日〜9月20日 2016年8月10日〜9月30日

2.調査結果概要

1)時系列分析

[総括]

  • 小型・軽トラック・バンの保有台数は、減少が継続している。運輸業以外では、経営状態や物資輸送量が前回改善レベルを維持しているものの、物資輸送効率化による外部委託化が更に進展し、保有減事業所数が保有増事業所数を上回る状況が継続。一方、運輸業では物資輸送量増加に伴い、経営状態が更に改善しており、保有増事業所数が保有減事業所数を上回る状況が継続。
    一方、運転手不足が更に深刻化しており、輸送量減少に加え、保有台数増抑制の一因。
  • 販売台数は前年を維持しており、買替率も前回を上回るレベル。特に運輸業では「代替を早めている」事業所が2割程度発生しており、買い替えの動きが活性化。買い替え中心のため、足元の保有増には結びついてはいないものの、需要増の兆しあり。
  • 今後の保有意向では、増加意向までの動きは見られないものの、運輸業では物資輸送量や経営状態の見通しが明るい事業所が多く、保有増に期待。

[保有状況と変化の背景]

  • 小型・軽トラック・バンの保有台数は減少傾向が継続。
    • 全体では「経営状態」「物資輸送量」は前回の好調を維持。運輸業では「経営状態」は前回より更に改善。運輸業以外では物資輸送効率化策として外部委託化が進展しており、保有台数は減少傾向が継続。一方、運輸業では外部委託化の恩恵を享受し、経営状態は好調なものの、保有台数増加事業所は減少。
      運転手不足が更に深刻化しており、半数の事業所で運転手不足の状態。運転手不足により、稼動していない車が発生しており、保有台数増加の阻害要因となっている。

[需要構造の実態]

  • 2016年の小型・軽トラック・バン全体の需要は前年レベルを維持。買い替え需要は増加。
    • 買替率は前回を上回っており、代替早遅をみても、「代替を遅らせている」事業所も前回を維持。特に運輸業では「代替を早めている」事業所が2割程度発生。買い替えの動きが活性化しており、買い替え層が需要維持を支えていると思われる。また、買い替えについての考え方でも「無理しても早めに買い替え」が更に増加しており、買い替え早期化の動きも顕著に。

[使用実態]

  • 走行距離は長距離化、行動半径は狭小化。配送・納入先では軽は一般消費者が中心。
  • 高速道路利用度の高い運輸業では、高速道路の利用頻度は前回並みだが、短距離利用が増加している。
    • 物資輸送量増加に伴い、稼働率が上昇することで小型車は走行距離が伸長、一方で宅配便取扱量増加により物流のラストワンマイルを担う軽では行動半径が狭い往復型の運行形態が増加して おり走行距離が縮小していると思われる。また、高速道路の短距離利用増加はETC割引制度の廃止・縮小の影響と思われる。

[今後の購入・保有意向]

  • 次期買い替え意向車は、同タイプ・同クラス歩留まり意向率が高い傾向に変化はない。
    ただし、軽ボンバンは乗用車タイプ意向が高い。
  • 事業所における今後1〜2年の保有意向をみると、全体では前回からほぼ変わらず。
    運輸業では前回に続き、増加意向の事業所が減少意向の事業所を上回る。
    • 経営状態、物資輸送量とも改善すると思っている事業所が、悪化すると思っている事業所を上回っており、保有増を後押しする明るい材料もあるものの、運輸業以外の事業所では外部委託化も含めた物流体制の見直しが進展しており、保有に対してマイナス影響。

2)トピック分析

[安全意識と先進安全技術]

  • 運輸業では安全性への意識が高く、先進安全技術に対する魅力度も高い。
    • 8割以上が安全性に対して関心を持ち、7割以上が購入時に重視。運輸業は運輸業以外に比べ、関心度・重視度とも高い。
    • 安全意識の高い運輸業では、「運転席エアバッグ」に次いで「ドライブレコーダー」「バックガイドモニターやサイドモニター」の装着が安全性向上の必要条件。また、先進安全技術については、「歩行者の検知・保護支援システム」「誤発進防止システム」「後側方衝突防止支援システム」に加え、「標識認識システム」「カーブ進入危険防止支援システム」と運転手支援システムの魅力度が高く、運転手をサポートする意識の高さがうかがえる。

[環境意識と次世代環境車]

  • ハイブリッド車の受容性は高まっているが、他の次世代環境車への購入意向はまだ低い。
    • 環境問題に対する関心度は高く、大きな変化はない。運輸業以外よりも運輸業で関心が高い傾向も前回と変わらず。環境対策費用に負担を感じている事業所も約8割と変わらず。
    • 環境問題に対する考え方としては、「低燃費車を選ぶ」「耐久性があり長く乗れる車を選ぶ」が増加傾向。
    • 他の次世代環境車に比べ、ハイブリッド車への購入意向は高く、軽キャブバンを除き、意向は上昇。他の次世代環境車の意向は低レベルにとどまる。
      ハイブリッド車は信頼の高い技術との認識が定着しており、受容性が高まっていると思われる。
      一方、他の次世代環境車では、電気自動車・燃料電池車は「最新テクノロジー」ではあるものの、信頼できる技術との認識までは至っておらず、インフラ整備の遅れも不安材料。

[農家におけるトラック・バン]

  • 保有、買い替え意向車とも軽トラック中心であるものの、保有車では軽乗用車が増加傾向。
    • 農家数の減少が継続している一方で、農業生産法人は増加傾向。3割強の農家が規模縮小もしくは廃業の意向。
    • 保有、買い替え意向車とも軽トラック中心。消費地への配送は自家出荷中心。

[運転手不足への対応と課題]

  • 運転手不足が著しい運輸業では女性及び若年運転手の積極採用の意向。
    • 高齢運転手は現在5割弱の事業所で雇用、また、女性及び若年運転手の雇用は1割程度にとどまっており、雇用の拡大余地は大きい。特に運輸業では今後採用を積極化。
    • 女性及び若年運転手採用に積極的な運輸業では、採用にあたって女性では労務面、若年層では保有免許が障害。
    • 女性及び若年層採用に向けた取り組みを行っている事業所は2割程度にとどまる。

以 上

2016年度小型・軽トラック市場動向調査(PDF:11.7MB)


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