JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2012年05月17日

平成24年度事業計画

 平成24年度の国内経済は、復興需要により緩やかな景気の持ち直しが続くものと見込まれるが、欧州政府債務問題を背景とした世界経済の下振れリスクや、円高、電力供給の制約等の懸念が依然として存在している。

 自動車業界を取り巻く環境は引き続き厳しい状況であるが、昨年度の東日本大震災、それに伴う福島原発事故と電力需給の逼迫、そしてタイの大洪水と、度重なる災害による苦難を業界一丸となって克服したことで学んだ多くの教訓を糧に、日本の基幹産業として、経済・社会の発展に貢献するという使命・役割を全うしていく。

 課題は多岐にわたるが、本年度は以下3点を事業の柱として、業界を取り巻く環境変化を的確に捉えた取り組みを推進し、豊かなクルマ社会の実現に向けて積極的に活動していく。

 

日本の「ものづくり」の維持に向けて

 日本の「ものづくり」の優位性は、従来から日本の自動車産業が国際競争を生き抜く上での最大の強みであったが、歴史的な円高をはじめ、EPA/FTA(経済連携協定/自由貿易協定)締結の遅れ、高い法人税など、所謂「六重苦」により、日本国内で生産活動を継続することが極めて困難になっており、空洞化に向けた動きが加速している。
 自動車業界としては、この空洞化の進行に歯止めをかけ、日本の「ものづくり」を維持していくために、円高への抵抗力を高めるなど企業努力を継続するとともに、海外企業と同じ条件の下で競争できる環境の確保に向けて、政府への働き掛けを行なっていく。

 

国内市場の活性化に向けて

 国内の「ものづくり」の基盤を維持するためには、国内市場の活性化は喫緊の課題である。我々は、魅力的な自動車を社会に提供することに加え、クルマの夢・楽しさをアピールし、一人でも多くの方にクルマファンになって頂けるよう、業界をあげて最大限の努力を続けていく。
 自動車重量税の一部軽減、エコカー減税の3年間延長、エコカー補助金を活用し、市場の活性化に努めていくとともに、既に課税根拠を失っている自動車取得税と自動車重量税の廃止の実現に向け尽力していく。
 また、環境性能に優れた自動車の開発を進め、積極的に投入していくことによって市場の活性化を促進するとともに、政府が掲げる「2020年までに新車販売に占める先進環境対応車の割合を80%とする」との高い目標を達成するために、インセンティブ措置を強く求めていく。

 

安全・安心で、快適なクルマ社会に向けて

 交通事故死傷者数の更なる低減に向け、「予防安全」「衝突安全」の二つの視点から、先進安全技術の研究開発に全力で取り組み、より安全なクルマを世に送り出していく。
 その為の環境づくりの一環として、車両の国際的な相互承認制度(IWVTA)の創設も積極的に推進していく。
 交通安全啓発活動や道路環境整備への提言など、交通事故発生原因の3要素である「クルマ」「人」「道路」それぞれの観点からの取り組みを推進し、政府が掲げる「世界一安全な道路交通」の実現に貢献していく。
 増加する高齢者の生活支援をはじめ多種多様なモビリティ・ニーズに応えていくとともに、エネルギー供給や情報通信のネットワークの一翼を担う社会インフラとして、クルマの価値をより一層高め、安全・安心で、快適なクルマ社会を構築していく。

 

以 上