JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2010年05月20日

平成22年度事業計画

 平成22年度も、昨年度に引き続き、経済の急速な回復は期待できず、為替や株価の変動リスクも懸念されるなど決して楽観できる状況にはないものと認識している。

 平成22年度の四輪車国内需要の見通しは、環境性能に優れた自動車の購入補助制度の延長による効果が期待されるものの、制度終了後の需要の減退が想定されるため、4, 650千台(対前年比95. 1%)、一方、二輪車国内需要の見通しは、排出ガス規制対応による車両価格の上昇や都市部における二輪車駐車場不足の影響から需要の回復は見込めず、384千台(対前年比93. 4%)と予想している。

 日本の自動車産業は、我が国の幅広い関連産業からなる基幹産業であり、日本経済や地域社会の発展に寄与するという大きな使命と責務を担っている。業界を取り巻く環境は大変厳しいものがあるが、関係省庁・関係業界などあらゆる方面の皆様とも緊密かつ迅速な連携を図りつつ、この困難な局面を乗り切り、その役割を全うしていく。

 自動車産業が克服すべき課題は多岐にわたっているが、このような状況下だからこそ、様々な角度から同時並行的に取り組むことが重要である。
 平成22年度における主要な事業方針は以下の通り。

 

安全と環境への取り組み

 安全については、引き続き、交通事故の低減と被害軽減に取り組んでいく。
これまで自工会では、車両単体の技術に止まらず、官民共同のITS(高度道路交通システム)プロジェクトなど交通システム全体を視野に入れた先進的予防安全技術や衝突安全技術の開発・普及を進めるとともに、交通安全啓発や道路環境対策への提言活動を推進してきた。
 これからも引き続き、これらの活動を通じて、政府が掲げる「世界一安全な道路交通の実現」に向けて、ハード・ソフトの両面にわたり積極的に貢献していく。

 環境については、地球温暖化対策が最重要課題である。
 自動車業界としては、従来から地球温暖化防止に向けた様々な取り組みを行なってきたが、引き続き低炭素社会の実現を目指し、低燃費技術や次世代自動車の開発、低炭素車への代替・普及促進、交通流円滑化のための道路施策の調査・提言、エコドライブの推進等、道路交通分野における統合的な対策への取り組みを一層加速していく。
 また、生産段階においても、昨年、(社)日本自動車車体工業会会員会社と共同で、工場から排出されるCO排出量の自主削減目標値の引上げを行なっており、その着実な実施に努めていく。

 日本政府は温室効果ガスの排出量を、2020年に1990年比で25%削減すると国際公約をしているが、その中身についての具体的な議論はこれからである。政府には、議論に際し国際的な公平性、実効性に配慮すると共に、雇用への影響、国民の負担増などを提示し、国民各層や各界の意見が反映されるよう求めてゆく。

 

自由貿易推進のための国際的な相互理解と協力の促進に関する取り組み

 自由貿易体制の推進と公正なビジネス環境の整備は、グローバルに事業展開を行なっている自動車産業にとっても極めて重要な課題である。
 WTOドーハラウンドの早期合意やEPA/FTAの推進は、世界経済全体の成長にとって重要な課題であり、現在の厳しい経済状況下において、その回復と安定に繋がるものと期待している。
 また、「国際的な車両型式認証の相互承認制度」は、国際的な自動車流通の円滑化や、モータリゼーションの進展が著しいアジア諸国等の制度の国際標準化に資することから早期創設が望まれる。
 一方、二重課税など国際課税問題も、事業のグローバル化とともに顕在化しており、企業が不当な負担を強いられることがないよう国際的な調整が必要である。
 知的財産権の侵害は、公正なビジネスを阻害するだけでなく、経済的損害はもとより、消費者の健康や安全への脅威である偽造品・模倣品の世界拡散という問題を招いており、その対策が急務である。
 これらの諸課題に対し、関係各国の政府・業界との緊密な関係を通じ、日本政府の活動を積極的に支援していく。

 

クルマの夢・楽しさの訴求と快適な利用環境への取り組み

 自動車業界としては、環境に優しい次世代自動車をはじめとする最先端技術をいち早く市場投入していくことはもちろんのこと、常に、多様化するお客様ニーズに対応した魅力ある商品の提供に努めるとともに、クルマ・バイクの夢、楽しさ、素晴らしさを積極的に訴求し、市場の活性化に努めていく。

 また、お客様がより快適にクルマ・バイクを利用していただくためには、ユーザーの過重な税負担を軽減することも重要である。
 日本の自動車ユーザーの負担は国際的に見ても非常に高く、すでに課税根拠を失っている暫定税率が、一部を除き、今後も形を変えて維持されることは誠に遺憾である。業界としては、引き続き、自動車関係諸税の簡素化・軽減に向けた働きかけを行なっていく。
 なお、政府では地球温暖化対策税の導入が検討されているが、新税の導入ありきではなく、国際競争力や雇用・国民生活への幅広い影響を考慮した議論の必要性を訴えていく。
 さらに、ユーザーの利便性を高めるために、都市部における二輪車駐車場整備に向けた要望・提言、福祉車両の開発・普及にも一層注力する。

 

以 上