JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2009年05月21日

平成21年度事業計画

平成21年度は、米国の金融危機に端を発した世界的な経済の悪化の影響は世界中に拡大し、依然として底が見えず、日本経済も減退が続くことは避けられないものと認識している。

平成21年度の四輪車国内総需要については、自動車取得税・自動車重量税の減免措置や環境意識の高まりによる低燃費車への代替需要は期待されるものの、経済危機の影響を受けた消費マインドの低下は避けられず、前年度を下回るものと予想される。
輸出についても、世界的需要の減退が続いており、前年度を下回るものと予想される。

二輪車国内総需要についても、AT免許導入や高速道路二人乗り解禁、二輪車ETCシステムの導入など利用環境面での改善はあるものの、若年人口の減少や原付免許新規取得者の減少など構造的要因があり、前年度を下回ることが予想される。

日本の自動車産業は、今までに経験したことのない急激な経済環境の悪化に直面し、厳しい試練の時を迎えている。
しかしながら、自動車産業は我が国の基幹産業として広い裾野産業を持ち、経済・社会の発展に貢献していくという重要な責務を担っており、この困難な局面を乗り切り、その役割を全うしていく。

取り組むべき課題は多岐にわたるが、このような状況下こそ、継続的かつ重点的な取り組みが重要であり、「安全と環境への取り組み」、「国際的な相互理解と協力の促進」、「クルマの夢・楽しさの訴求と快適な利用環境への取り組み」の3点を事業の柱とし、自動車産業の危機的状況を克服すべく全力を傾注して推進する。

 

平成21年度における主要な事業方針は以下の通りである。

安全と環境への取り組み

安全については、交通事故の低減や事故時の被害軽減のため、先進的予防安全技術や衝突安全技術の開発を進めるとともに、交通安全啓発活動を推進するなど、政府が掲げる「世界一安全な道路交通の実現」に向けて、ハード・ソフトの両面にわたって積極的に貢献する。

環境については、とりわけ、地球温暖化防止への取り組みを最重要課題と捉えて、会を挙げて推進する。
京都議定書の目標達成に向けたCO2削減への取り組みに加え、中・長期的な観点に立って、低炭素社会の実現を目指し、低燃費技術や次世代自動車の開発、交通流円滑化のための道路施策への調査・提言、エコドライブの推進など道路交通分野におけるCO2排出量削減に向けた取り組みを継続する。
生産工場におけるCO2排出量の低減については、2008年度より当会と(社)日本自動車車体工業会の取り組みを統合した自主行動計画を策定し取り組んでいく。
また、政府による「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」へも、自主行動計画へ参加している当会全会員14社と車体工業会会員44社が一体となって自動車生産温暖化対策推進協議会を通じ協力していく。

国際的な相互理解と協力の促進

我が国の自動車産業は地球的規模で事業展開を行なっており、世界経済の回復と安定のためにも、自由貿易体制の推進とビジネス環境の整備は極めて重要である。
こうした観点から、WTOのドーハラウンドが成功裏に終結するとともに、二国間あるいは地域間の経済連携協定が更に促進されることが期待される。
また、知的財産権に関わる諸問題の世界への拡大・深刻化、海外当局による移転価格課税等に伴う二重課税など、産業のグローバル化に伴う課題も顕在化している。
これらをはじめとする諸課題に対し、関係各国の政府・業界との緊密な関係を通じ、日本政府の活動を積極的に支援する。

クルマの夢・楽しさの訴求と快適な利用環境への取り組み

お客様ニーズの多様化に対応した魅力ある商品の提供に努めることはもとより、クルマやバイクの夢、楽しさ、素晴らしさを体感いただけるような取り組みを継続的に推進していく。
今秋の東京モーターショーの開催に向けては、世界の自動車産業を取り巻く環境を踏まえつつ準備を進め、情報発信力の高いショーを目指すとともに、中・長期的視点に立ち、モーターショーのあり方や休催年イベントのあり方についても検討していく。

また、お客様がより快適にクルマ・バイクをご利用いただくための環境整備も重要である。
昨年末の税制改正において、低炭素車に対する自動車重量税・自動車取得税の減免措置が認められた。低炭素車の普及と低迷する自動車市場の活性化に繋げるべく、この減免措置の効果を最大限に高めるよう努力する。
今後の税制抜本改革時には、自動車関係諸税のあり方について根本から総合的に見直し、自動車ユーザーへの過重な税負担が軽減されるよう、ユーザーの声を反映した活動を継続して進める。
本年度の追加経済対策では、環境性能に優れた自動車に対する補助金制度が盛り込まれた。税の減免措置と併せ、その効果を最大限高めるよう努め、販売回復に向けて積極的に取り組む。

さらに、ITS(高度道路交通システム)社会の早期実現に向けた活動、道路交通環境の整備、都市部における二輪車駐車場整備の推進や高齢社会における安心・安全な道路交通環境作りに向けた要望・提言、福祉車両の開発・普及等にも一層注力する。

世界不況下での自動車産業の健全発展と活性化への取り組み

自動車産業を取り巻く経済環境は、急速に悪化し回復の兆しも見えない状況である。
上述の取り組みに加え、低迷する自動車市場に歯止めをかけ市場を活性化させる活動を一層進めていくなど、この危機的状況を一刻も早く克服し、自動車産業の健全な発展を取り戻すことで、日本経済の回復に資することが急務である。
そのために、関係省庁や関係業界とも連携を図りつつ、喫緊の課題についても集中して取り組む。

 

以 上