JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2002年08月19日

UNEP(国連環境プログラム)モビリティーフォーラム・レポートについて

UNEPはWSSD(地球開発サミット:8月26日−9月4日まで開催)に向けてアジェンダ21の達成状況を検証するとともに、過去10年の反省を踏まえ、この先10-15年を見越した実行計画を策定するため、22のセクター別のレポートを作成した。

自動車部門のレポートは、自動車メーカーがUNEPと協力して自主的に開始したUNEP Mobility Forum により提案されたものであり、昨年より欧州自工会(ACEA)を中心に日本自工会と自動車メーカーが協力して作業に取り組み、作成されたものである。

同レポートの概要は以下のとおり。

(1)自動車業界のこれまでの成果

自動車業界は1992年のリオ会議以来、持続可能な開発の促進に対する取り組みで大きな前進を遂げている。先進技術による解決策が実施されており、主な達成事項としては、燃費の低減や、排ガス低減につながる触媒コンバーターの使用拡大、ハイブリッド車・燃料電池車の導入・開発などが挙げられる。
その他の達成事項には、騒音の低減、安全性の向上、フロン(CFC)の段階的除去、自動車リサイクルなどがある。例えば、最適な条件下での現在の新車100台の排ガスは、1970年代に生産された車1台分と同量である。大型商用車の排出量は、70年代のレベルの10〜20%に低下している。
90年代に実現した重要な取り組みのひとつは、今後10年間で工業国の大気の質をさらに向上させることを法により定めたことである。すべての企業は、進捗状況を国民に知らせるために、定期的にリポートを発表している。

<主な達成事項>

  • 燃費低減(CO2削減自主約束)、
  • 排ガス低減(直噴エンジン・触媒コンバーターの使用)、
  • 騒音の低減(1970年比、平均で約90%低減)、
  • 安全性の向上(1970年より安全性が4倍改善)、
  • フロン(CFC)の段階的除去(代替物質(HCFC, HFC)の使用)、
  • リサイクリング(LCA手法の適用)
  • システム・アプローチとして、ISO14000などの管理システムを導入、又ライフサイクル・アナリシスの実施
  • 技術・アプローチとして、ハイブリッド、燃料電池、代替エネルギーの技術開発の実施


(2)持続可能な発展に向けた目標と課題

自動車業界は、環境、経済、社会面でのパフォーマンスの向上に向けた共同の取り組みを支持しており、重要な挑戦として、気候変動の管理、都市部における大気の質の向上、サプライチェーンにおける持続可能な発展の促進などに取り組んでいる。
CO2排出及び燃料消費低減が注目されている。有害な排ガスの低減は、特に都市部での大気の質の向上にもつながる。自動車業界はまた、代替エネルギーならびに自動車の新たな動力源の開発を行っている。その他の課題として、騒音の低減、開発途上国における燃料の無鉛化、交通渋滞の緩和と安全性の向上などがある。

<主な目標と課題>

  • サプライチェーンにおいて持続可能な発展を促進:自動車メーカーがサプライヤーを選択する際、環境基準や社会労働基準を採用。
  • 温室効果ガスの抑制:CO2、有害排ガスの削減
  • 無鉛燃料の普及、燃料品質の改善:
  • 代替エネルギー、燃料電池の開発:税制上の優遇措置、燃料インフラの整備
  • 交通安全の向上:アクティブ/パッシブセーフティーに関する自動車安全対策の改善

(3)ITによる交通システムの改善

将来、人や物品の効率的かつ効果的な移動を図るためにITを駆使した交通システムが必要である。 自動車業界は、交通手段の最適化を図るため技術革新と共同行動を通じ取り組んでいる。

(4)新たなかたちのパートナーシップ

取り組むべき課題はこのように複雑であり、持続可能な発展への挑戦には、新たなかたちのパートナーシップと協力が必要である。
自動車産業は、個々の問題に対する最も最善な解決策は、公共と民間、あるいは民間と民間のパートナーシップというかたちでの、政府、公共機関および民間企業の緊密な協力によって提供されると考える。当事者が意見交換を続けることにより、すべての利害関係者の関係が強まり、理解が深まる。自動車業界は、この世界規模の共同の取り組みにおいて、積極的に主要な役割を担い、自らの専門技術、約束、包括的な能力を活用して、持続可能な発展を促進する。

以 上