JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2007年10月25日

共同ステートメント

(仮訳)


欧州、日本、米国の大型車メーカーおよびエンジンメーカーは本日、世界的な視点から気候変動問題に取り組む重要性を強調するとともに、世界規模での燃料品質向上へ向けたUN/ECE/WP29の活動を全面的に支援することで合意した。

 

社団法人日本自動車工業会大型車特別委員会委員長(いすゞ自動車代表取締役社長)の細井行氏は、「商用車・エンジン業界は、取り組んでいる温室効果ガスの排出削減に向け、燃費評価とバイオ燃料の使用の重要性について認識している」と述べた。この発言は、幕張で開催された、細井氏が議長を務める第5回大型車グローバルミーティングにおいて本日なされたものである。細井議長はさらに、次のように述べた。「世界の商用車業界は、商用車の排出ガスならびに環境影響を低減するために、UN/ECEにおける大型車環境関連法規の国際基準調和活動、ならびに燃料品質の向上および調和に関する新しいイニシアチブを全面的に支援して行くつもりである。

幕張で行われたこの会議には欧州、日本、米国の世界的な大型車メーカーおよびエンジンメーカーの首脳が集結し、業界が直面している課題について議論を行った。同様の会議が過去にもアムステルダム(2003年)、東京(2004年)、シカゴ(2005年)、ハノーバー(2006年)で開催されている。

本日の会議ではさらに、大型商用車およびエンジンの環境・安全性能の向上に向け、各種技術規則の国際調和について議論が交わされた。

燃費

会議では、一部の国で開始された燃費効率向上への取り組みや、適切な燃費評価方法の必要性について議論が行われた。

商用車の燃費を評価および改善する方法を模索する国が増えていることを踏まえて、商用車の燃費性能および燃費効率を評価するための国際的に調和された方法を確立するともに、コンピューターシミュレーションを用いた評価など基盤技術について共通化を進めて行くことで合意した。本件の緊急性に鑑み、CEOは特別ワーキンググループを設置することに合意した。

燃料品質:ディーゼル

厳しい排出ガス規制が導入されるに伴い、燃料品質が排出ガスに与える影響は非常に大きな問題となってきている。事実、先進的な輸送システムを備えた先進国の多くが、排出ガス低減に向けた活動の中で燃料品質およびエンジンの改善を優先的な課題として取り扱っている。

しかしながら、発展途上国および移行経済諸国では、排出ガス低減において燃料品質が果たす役割についてはそれほど広く認識されてはいない。この現実を受け、会議では、現在行われている排出ガス規制の世界的調和へ向けた活動と並行して、世界規模の燃料品質規制の必要性が指摘された。

昨年ハノーバーで行われた第4回会議において、世界の自動車業界はUN/ECE/WP29の副議長ベルナール・ゴバーン氏に対し、国連の場で世界燃料規制の問題に取り組んでほしいとの公式の要請を行った。

ゴバーン氏は本日の会議で、WP29は世界燃料規制の必要性を議論する段階から、それを実現する最適な方法を検討する段階へと移ったと報告した。これを受け、商用車・エンジン業界はWP29のこの活動に対する全面的な支持を表明した。

バイオ軽油

温室効果ガスの排出に対する取り組みへの支援を自動車部門に求める政治的圧力により、「バイオ軽油」(FAME)の使用は世界的に広まっている。現在利用可能なバイオ軽油は、菜種、大豆、ひまわり、ココナッツ、パームヤシ等の数種類の含油植物から製造される。

バイオ軽油については適切な製品規格が必要とされている。エンジンおよび後処理技術のために高い品質が必要であることを明らかにするため、現在行われているバイオ軽油の規格化作業において大型車業界が積極的な役割を果たさなければならないことが合意された。

会議出席者は水素化処理を用いたバイオ軽油を促進・支援している。このプロセスにより作られた製品は優れた着火・燃焼特性を有しており、現在の市場の品質基準を満足しつつ、従来の軽油とほぼあらゆる混合比率で使用することが可能である。

世界技術規則(排出ガス試験法の調和)

本日の会議ではさらに、排出ガス低減、燃費向上ならびに車両安全性向上を可能とする新たな技術を低コストかつ迅速に導入する手段として、自動車規則および試験法の国際的調和の重要性も強調された。

会議出席者は、国家の壁によりこの分野における進展が阻害されないようにすることで合意した。また、大型車およびエンジンメーカーだけでなく、環境および消費者の利益に資するべく、自国政府に対し、重量車の排ガス測定試験の国際基準調和モード(WHDC)の他、排ガス適合試験法、車載故障診断、オフサイクル排ガス等に関する世界技術規則の早期採用に協力するよう働きかけることで合意した。

知的財産保護と道路交通安全

本日の会議で、現在トラックメーカーが行っている安全性向上のための設計およびシステムを大型トラックへ導入するための活動をさらに拡大して行くことが確認された。新たな安全技術の導入に向けた自主的努力は継続的に実行されることとなろう。メーカーは、必要とされる新たな規則の策定が適切な形で行われるよう、政府当局者と協力していくことを合意した。

また、自動車部門における模倣品の増加に緊急に取り組む必要性、ならびに知的財産権保護が商用車メーカーに対して持つ重要性が確認された。模倣品問題が発展途上国の政府および国民にとって未だ優先的な課題とみなされていないことに対して懸念が示された。CEOは、模倣にかかわる問題について、より一層政府ならびに社会の関心を集めるための手段を講じていくことを合意した。

次回会議

米国トラック工業会(TMA)、およびエンジン工業会(EMA)を代表するジェド・マンデル氏が、第6回大型車グローバルミーティングを2008年10月8日に米国で開催する旨案内した。

 

連絡先

ACEA シグリッド デブリース + 32 2 738 73 45
EMA ジェド マンデル + 1 312 827 8732
TMA ロバート クラーク + 1 202 638 7825
JAMA 岩武 俊広 + 81 3 5405 6126

 

大型車グローバルミーティングには各社首脳に加え、欧州自動車工業会(ACEA)、日本自動車工業会(JAMA)、トラック工業会(TMA)、エンジン工業会(EMA)の代表メンバーならびにスタッフも出席した。