JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

ニュースリリース- 2007年10月24日

世界の自動車メーカー首脳、気候変動及び世界的な問題について討議

(仮約)

世界の主要な自動車メーカーの首脳は、本日、幕張にて会議を開催し、自動車産業が直面している課題について議論し、気候変動とエネルギーセキュリティーの問題に取り組むことが極めて重要である、と確認した。さらに最高責任者達は、こうした問題はインテグレイテッド・アプローチ(統合的アプローチ)に基づき、自動車メーカーだけでなく、政府、エネルギー業界、自動車ユーザーが関与しながら取組みがなされなければならない、と認識した。会議では他に、世界燃料規則、交通安全、知的財産についても議論がなされた。

「第5回乗用車グローバルミーティング」は、日米欧の自動車メーカーのリーダーが参加し、第40回東京モーターショーに合わせて開催された。欧州自動車工業会(ACEA)、米国自動車工業会(ALLIANCE)、日本自動車工業会(JAMA)の代表も参加した。これまでの会合は、パリ(2002年9月)、東京(2003年10月)、デトロイト(2005年1月)、ジュネーブ(2006年2月)で開催されてきた。

トヨタ自動車株式会社会長である張富士夫氏を議長として、出席者は、世界の乗用車業界が今日直面している最も差し迫った問題について討議を行なった。そして、次の点で意見の一致を見た。

「自動車メーカーは、社会や産業の発展に貢献し、環境、天然資源、エネルギー、交通安全に関連する地球規模の諸問題の解決に向け努力を続ける。さらに、自動車メーカーは、政府、消費者、その他のステークホルダーとの生産的かつ建設的なパートナーシップを築き、これら問題に対し、積極的な取り組みを推進していく」。

気候変動―グローバルチャレンジ

CO2やその他の温室効果ガスは気候変動の主要な原因と認識されているが、世界全体でのそれらの排出量は増加を続けている。自動車業界は、将来にわたり自動車を中心としたモビリティを確保しつつ、地球規模でCO2排出量を削減するために、中・長期的な対策を実施することによって、このチャレンジに対応しなければならない。

CO2排出量を削減するために、ガソリン車およびディーゼル車の継続的な燃費改善はもとより、ハイブリッド(プラグインハイブリッドを含む)や次世代クリーンディーゼル自動車の技術の向上、燃料電池自動車や水素自動車のような代替燃料車の開発が必要である。CO2排出量を削減するだけでなく石油依存も減らすためには、自動車技術の革新と並行して、代替燃料(バッテリーを含む)の開発が進歩しなければならない。道路輸送分野での代替燃料の使用を促進するために、それら燃料の地理的偏在性、供給量の安定的確保、燃料供給インフラの整備、燃料品質の確保といった課題は極めて重要である。

自動車業界は、環境に配慮した次世代技術の開発及びそうした技術の普及促進のため最大限の努力を傾注する。しかし、道路輸送におけるCO2排出量の削減は自動車メーカーのみが責任を負うことはできない。気候変動に効果的に対応するため、インフラ整備や自動車の購入者/ユーザーへのインセンティブ措置など政府による支援、エネルギー業界による適切な燃料の供給、ドライバーによる自動車の適切な利用など、全てのステークホルダーが関与するインテグレイテッド・アプローチ(統合的アプローチ)が必要である。

さらに、必要とされる技術の多くは、いまだ開発の初期段階にあり、現時点で将来における実用化の展望を描くことは困難である。また、これらの技術開発を自前で全て行なうことは、個々の自動車メーカーにとって莫大かつ不確定な投資を行なうことを意味する。政府は、従って、自動車メーカーの研究開発に対するインセンティブの提供や、研究機関(公共・民間)との協力に基づく共通基盤技術開発の促進において、極めて重要な役割を果たすであろう。

世界燃料規則

乗用車および大型車の両グローバルミーティングの共同イニシアティブにより、第4回大型車グローバルミーティング(2006年9月)の席上、世界燃料規則ならびに調和した排出ガス規制の必要性についてWP29※ にて取り扱うよう、WP29議長へ要請書が手交された。

これを受けて、WP29は、自動車や石油業界の専門家及び政府代表によるラウンドテーブルを2007年11月15日に開催し、燃料品質改善、高品質燃料の世界的な供給の可能性について議論するとの決定を発表した。 本日の会議に出席した自動車メーカー首脳は、世界燃料規則に関する国際的な合意に向けた進展を歓迎し、この進展への支持を表明した。

※ 国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム

交通安全の向上

自動車業界のリーダー達は、たとえばアンチロックブレーキシステム・車両横滑り制御・ブレーキアシスト・照灯技術など、自動車メーカーが世界市場に投入してきたいくつかの進歩についても概観した。こうした技術革新にもかかわらず、交通安全は将来的に公衆衛生上の重大な課題であるとみられている。自動車業界は、交通安全は共同責任であり一般の人々・政府・業界の全てが交通事故防止政策を構築する上で極めて重要な役割を果たす、との考えで一致した。

世界の自動車業界の共通の懸念は、シートベルトやチャイルドシートの低い使用率、飲酒運転、歩行者保護である。

知的財産

日米欧の自動車業界は、第3回乗用車グローバルミーティング(2005年)で、世界規模で模倣品に効率的に対処する方策を議論するための三極合同の知的財産作業グループを発足させることを合意した。知的財産作業グループは、2006年11月北京、2007年4月上海にて会合を開催した。

自動車メーカー首脳は、自動車製品の模倣品の排除を優先課題にするよう政府へ要請してきた。また、知的財産作業グループは、この問題に関する一般消費者への啓発活動を実施してきた。さらに、共通ウェブサイト(“e-Room”)を活用した3極間のネットワークが、偽造品対策・ブランド管理・知財に関する企業の専門家が情報交換を行なうために構築された。

本日の会議に出席した最高責任者達は、対策の実効性向上のため、知財専門家が実務レベルでの協力を継続することで合意した。

車両認証の相互承認

第1回乗用車グローバルミーティング(2002年)以来、自動車技術基準の国際調和に関する広範囲な論議がなされてきた。そして、世界の自動車業界は、車両安全と環境性能に関する世界的な技術基準の統一を加速することが必要であると認識してきた。このコンセンサスに基づき、日本は現在、官民合同の努力により、WP29の基本原則に基づいた車両認証の相互承認に向けて活動を行っている。本日の会議参加者に、その取り組みの概要が紹介された。

次回の会議

本日の会議の最後に、自動車メーカー首脳は、第6回乗用車グローバルミーティングを北米国際オートショーに合わせ、2009年1月にミシガン州デトロイトで開催する計画について議論した。

 

連絡先

ACEA シグリッド デブリース + 32 2 738 73 45
ALLIANCE グロリア バーグクイスト + 1 202 326 5596
JAMA 岩武 俊広 + 81 3 5405 6126