JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2016年12月22日

日本自動車工業会
西川会長

●2016年の振り返り、2017年に向けた取組み(冒頭発言より)

  • 本日は年末のお忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。まず冒頭、与党の税制改正大綱とTPPの国会承認、自工会としての適正取引に関する自主行動計画について、触れさせていただきます。
  • まず税制ですが、今回の大綱で、保有課税の軽減に関する措置を講ずること、特に基準の切り上を最小限にとどめる形での、エコカー減税等の延長、これらを盛り込んでいただくことができました。要望を基本的に反映していただけた事、今回、課税見直しを取りまとめていただきました与党関係者の皆様のご尽力に深く感謝しております。
  • そしてTPPの国会での承認でございますが、グローバルに事業展開する自動車業界にとって、自由貿易協定によるビジネス環境の整備は、競争力強化に極めて重要であります。国会で批准されたということは大きな前進であり、大いに歓迎したいと思います。
  • 次に、適正取引に関する自主行動計画についてでありますが、この度、自工会は「適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」の大筋を取りまとめました。日本経済の活性化の加速、これは喫緊の課題であり、バリューチェーン、サプライチェーンの拡がりの大きい自動車業界の貢献に、期待が高いことは承知しており、内部でも加速して議論してまいりました。今後も政府の皆様、部品工業会等の団体とも連携して適正取引の普及啓発に努め、サプライチェーン全体への経済効果の波及に貢献をしていきたいと考えております。
  • 一方、従来から進めております自工会としての3本の柱、2017年に向けてもこれはぶれることなく具体的に更に進めてまいります。
    1. 「安全・快適で持続可能なモビリティ社会の創造」
      • 私たちの目指すところは、交通事故ゼロ、渋滞ゼロ、そして自由な移動や高効率な物流でありますが、この有力な手段として、自動運転の導入・普及の取り組みを加速してまいります。自動運転技術は少子高齢化、地方の過疎化が進む中、特に高齢者の方の運転による事故を防ぐ意味でも、安全への貢献が一層期待されています。一方、現時点で実用化開発が進んでいる、いわゆるレベル2を超えた、高度な自動運転を実現させるためには、さらなる技術開発と同時に現在とは全く異なる社会システムも必要になります。そのための法的整備や交通環境整備が不可欠であり、引き続き、産官学の取組みに積極的に参画してまいります。
      • 地球温暖化対策も言うまでもなく重要な課題と捉え、日本政府が掲げる温室効果ガス排出量削減の目標の達成に向けて取り組んでまいります。中でも、次世代自動車の開発・普及の推進は、日本の自動車メーカーの得意とする分野であり、普及に不可欠なインフラ整備についての政府からのご支援もいただきながら、技術・商品開発を加速してまいります。
    2. 「国内市場活性化」
      • 2017年10月27日より第45回東京モーターショーを開催します。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年をターゲットに、2017年、続く2019年のモーターショーを主要なマイルストーンとして位置づけ進めてまいります。狙いとしては2つ、世界へ向けては技術の進化、将来のモビリティ社会を示す場として東京モーターショーの存在感を大きく高めること。国内においては、クルマ離れと言われる若者を含め、従来よりも幅広い皆様から注目されるショーとすること、これらを念頭に企画を進めてまいります。ショーテーマは「世界を、ここから動かそう。BEYOND THE MOTOR」とし、ロゴはTOKYO MOTOR SHOWの頭文字である「TMS」をデザイン化しました。従来の枠を超えて様々なアイデアやテクノロジーを取り入れ、モーターショーそのものの進化にも取り組んでまいりますので、是非ご期待下さい。皆様にもこの魅力を大きく発信していただき、ショーの活性、そして将来のモビリティ社会の活性にご協力いただきたくお願い申し上げます。
      • 一方で、実際の市場の活性化、つまり消費という意味では、自動車ユーザーの過重な税負担を解消すること、自動車関係諸税の簡素化、そして軽減が不可欠となります。引き続き、税制の抜本的な見直し、具現化へ向けて活動を継続してまいります。
    3. 「事業環境の改善」
      • TPPや日EU EPAを始めとする自由貿易の拡大は非常に重要なポイントであり、引き続き、積極的にサポート、働き掛けをしていく方針であります。
      • また、日本の先端技術の優位性を発展させるため、特に法規・認証に関する国際基準認証調和活動そして新しい技術分野の国際標準化活動、この活動も積極的に進めてまいります。
  • 経済、市場、地政学的にも変化が大きい環境でありますが、技術の進化、市場の進化をチャンスと捉えて競争すべき所は競争して、協調して進めるべき所は協調して、より効果的な活動を進めてまいります。引き続き、来年もご理解ご支援を宜しくお願い申し上げます。

●米国次期政権について

  • 米国の次期政権が具体的に発足し、実際に新大統領が指示を始めるまでは憶測で具体的なことを申し上げるのは時期尚早と思いますが、我々自動車業界にとりましても、最大のマーケットである米国の経済が活性化していくことは大歓迎です。
  • 通商については、我々も既に米国でのオペレーションをほとんど現地化していますので、米国の利益になるように議論頂ければ、日系メーカーにとっても利害得失同じ方向に動くと思っております。

●今後の国内販売の動向について

  • 景気全体をどう見るかという話もありますが、国内販売市場は緩やかに回復していくと見ています。軽自動車については、なかなかペースが上がらない部分はあると思いますが、全体論として見ると、新技術や新商品に魅力のあるものを投入していくと、マーケットやお客様は反応してくれるという状態にきていると見ています。

●高速道路における時速100km/hを超える規制速度の試行区間の選定等について

  • 公安委員会より発表された新東名高速道と東北自動車の試行区間における規制速度引上げについては、実行段階では慎重な実行が必要だと思いますが、効率を上げて利便性を確保していくという意味では、大変良い方向であり、安全性に留意しながら進めて頂けることは、自工会としても大いに歓迎をしています。

以上