JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長会見  2011年05月19日

日本自動車工業会
志賀会長

東日本大震災の発生から2カ月余が経過しましたが、被災された方々、今なおご不自由な生活をされている方々には心よりお見舞い申し上げます。
この間の官民の努力により、今後の復興は加速していくものと期待しています。

夏季の電力需給ギャップ対策としての休日の振替えの実施など

  • 大口需要家への電力需要の抑制目標が15%に引下げられたが、各社の自助努力とともに、自動車業界は生産活動へ影響を与えることなく、計画停電の実施を回避しピーク電力の需要抑制を図る手段として、休日を「土・日」から「木・金」へシフトすることが有効な策と判断し、部工会・自動車総連と連携して実施していくことを決定した。
  • 休日の振替えによる平日電力需要の抑制は、多くの企業の参加により大きな効果を生み出すため、参加企業が増えていくことを期待している。
  • 間接部門、金融機関、官公庁との接触や海外市場と接触がある部署の休日シフトについては各社判断としている。
  • 土曜日・日曜日に生産を行うことにより自家発電が避けられるので、CO排出面においてもメリットがあると考えられる。
  • 生産の正常化に関しては、多くの関係者の尽力により、時間の経過とともに当初想定より大幅に前倒しが図られている印象。
    国内外の多くのお客様に待って頂いていることを重く受け止め、一日も早く回復出来るよう努力したい。
  • 1‐3月のGDPが年率換算でマイナス3.7%であったが、復興活動、補正予算等の対策により自粛ムードから復興ムードへ、そしてその先の年後半に向けてGDPが伸びることを期待している。

平成23年度事業計画の考え方

  • 東日本大震災により生産・販売・流通・整備・輸出などの各方面で影響が出た。しかしながら、自動車業界が一刻も早く元気を取り戻しモノづくりを再開すること等により、日本経済回復の原動力となるものと確信している。
  • その観点から、平成23年度は『日本のモノづくりの維持に向けて』、『低炭素社会の実現に向けて』、『安全で快適な車社会に向けて』との3つの視点を中心に活動していく。

震災後の復興対策等に係る政府の取り組みに対して

  • 関係各省庁の連携の下、震災被害者を対象に、自動車関係税制の特例措置など所要の対策が講じられた件につき早急かつ適切な判断を賜ったものと感謝している。
  • 本日の自動車戦略研究会にて、自動車業界は現在、円高、法人税の引下げ、CO削減目標の見直し、労働情勢の問題、FTA/EPAの5重苦とこれに電力問題を加えた6重苦に直面している旨を説明した。
    併せてものづくり力を次の日本の世代に伝えつつ、日本の復興、成長の原動力にして今後の成長に貢献していくことが、震災を経験したこの時点で自動車業界に身を置いている者の責務であろうという点を強調した。

自工会のサプライヤー支援について

  • 自工会のサプライヤー支援対策室は、被災した企業の情報とその後の復旧情報の共有/フォローのため現在でも活動を続けている。
  • 工業会というレベルで、実際の緊急事態に対し人道的支援、救難活動、復旧支援等の、取り組みが出来ていることに、海外からは驚きを持って受け止められている。
  • 救難活動、復旧支援活動を通じて、サプライヤーにはオンリーワンの技術力があり、各自動車メーカーがその技術に依存している状態が把握できた。

以上