JAMA 一般社団法人日本自動車工業会 
 

会長コメント  2018年10月19日

英国のEU離脱に関する交渉について


一般社団法人 日本自動車工業会
会長 豊田 章男

 日本の自動車産業は、離脱協定の合意に向けた英国およびEU両政府によるこれまでの多大なるご尽力に敬意と感謝の意を表します。一方、当初交渉期限とされていた10月に合意に至らず、「合意無き離脱」が現実味を帯びてきていることについて懸念しています。

 日本自動車工業会の会員企業は、英国およびEUにおいて、14の生産拠点と17のR&D・デザイン拠点を有しています。2017年には、年間150万台の自動車を生産し、直接・間接で17万人を雇用する等、英国・EU自動車産業のステークホルダーとして、英国・EU双方の経済・雇用に貢献しています。こうした貢献においては、英国・EU間における自由で障壁の無い通商環境の維持や、基準認証の統一は不可欠です。

 離脱協定が合意に至らず、2020年12月末までとされる移行期間もなくなった場合、ジャスト・イン・タイムの物流オペレーションへの支障による生産活動の停止や、恒常的な物流・生産コスト増による事業収益悪化・販売価格の見直し等、企業活動やお客様への影響は甚大なものとなります。両政府には、引き続き円満妥結に向け最大限の取り組みを継続して頂くとともに、「合意無き離脱」を是非とも回避頂き、併せて、柔軟な対応により、英国離脱後の諸制度の円滑な移行が実現し、企業活動への影響が最小限となるよう切に願います。

 日本自動車工業会と致しましては、英国・EUにおける企業市民の一員として、地域の経済発展に引き続き貢献すべく努めて参ります。

以 上